通学できず心が限界、深刻化する大学生の孤立 今年に入って休学や退学を考えた人が3割

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ハッシュタグをつけた投稿では、「本当に大学生になったのかわからぬまま 実感も湧かないまま 次の新入生がどんどん合格していく。はぁ悔しい そしてうちら(今の大1)への同情なんて薄れていくんだろうな。どんな顔して新入生迎えればいいのかもわからん。もはや迎えたくも無い。こっちがまた新入生やりたいよ」といった現状を嘆く声が続々見つかる。

内容そのものは前出のアンケート結果と同様だが、一口に「学校へ行くことができない不安や不満」と記すのが申し訳ないような肉声が続く。

このまま、大学生活がオンライン中心となった場合、どのようなことが起きるのか。教育と社会の構造変動を調査・分析している大前敦巳・上越教育大学教授(教育社会学)に尋ねると、まずはこんな回答が戻ってきた。

孤立と不安の悪循環に陥る

「大学の閉鎖でコミュニケーション機会が減少しました。ネット上での交流機会は増えたものの、何かわからないことが生まれたり、悩んだときに助けてもらえる人が見つからなかったり。部やサークル活動もできない。そんな中で悩みが生じても、大学での学生相談やカウンセリングもキャバシティにも限界があります。

「学生のメンタルヘルスケア対策を早急に整えるべき」と語る大前敦巳・上越教育大学教授(写真:板垣聡旨)

そうなると、孤立と不安の悪循環に陥っていく学生が増加します。心の余裕を失って、自分のことだけで精一杯になると、どうしても教員や家族など他者に依存的になっていく。依存が高じると、ますます他者の信頼を得られなくなります。悪循環です」

大前教授は「大学と国は学生のメンタルヘルスケア対策を早急に整えるべきだ」と強調している。

国立の上越教育大学は新潟県上越市にある。自然環境に恵まれ、周囲は住宅地や田んぼが多い。学部と大学院を合わせた学生数は約1200人。2020年度の入学者約400人の状況を見ると、新潟県からの入学者は3割ほど。そのほかは中部地方を中心に北海道から九州・沖縄まで広がっている。

このような専門性の高い地方の小規模大学でも事情は同じなのだろうか。上越教育大学では、どんな課題が生じているのか。

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