日本人はWeb会議がいかに使えるかを知らない リアル会議じゃないとダメだと思っている人へ

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以上をまとめれば、Web会議の効果は2つあることがわかります。

1つは、コストをかけて対面しなくてもよくなったことです。これによって、これまで物理的に近かったものが離れることを可能にします。あるいは、これまで集まっていたものが、集まらなくてもよくなります。

この動きは、「分散化」ということができるでしょう。

在宅勤務は、この1つの例です。

ただし、効果はそれだけではありません。

これまでは、離れた場所に住むため頻繁に連絡をとれなかった人々が、より緊密に結びつき、連携しあうことを可能にするのです。

国際会議、独立して働く人の面会、組織外部との会合、遠隔医療などは、その例です。

仕事上のことだけではありません。これまではたまにしか行えなかった学生時代の友人との集まりを、頻繁に行えるようになりました。高校時代の友人との集まりを、何と毎週やっています。会合時間を30分にしているのも、気軽にできる理由です。実際に集まるのでは、こんなに短くできません。

また、離れて住んでいる家族との集まりも、Web会議で簡単にできるようになりました。

このようにして、距離が克服されつつあります。

これは、地球的な規模で進展します。

日本に住んだままでアメリカの企業に就職したり、インドに住んでいる人が日本の会社で働けたりするようになるのです。これは、実に大きな変化を世界にもたらすでしょう。

ただし、このためには外国語(主として英語)で仕事をできることが必須の条件です。日本がその条件を満たせないと、世界の大きな変化に取り残されることになります。

日本では、こうした側面が重視されていないのではないでしょうか?

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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