嵐「非エリート集団」が国民的支持を得た理由 活動休止発表後「ネット進出」加速、後輩に先鞭

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もうひとつは、海外に向けた発信である。すでにアジアツアーの経験はあった嵐だが、ここ最近はいまふれたネットとの連動による発信が目立つ。
2019年12月には、Netflix配信のドキュメンタリーシリーズ「ARASHI’s Diary -Voyage-」が、28か国語の字幕付世界190か国で配信開始になった。

また2019年11月の「Turning Up」以来の配信限定シングルにおいては、海外アーティストによる楽曲提供が定番化している。とりわけ、2020年9月リリースの「Whenever You Call」は、世界的アーティストであるブルーノ・マーズによる全編英語詞の楽曲として話題になった。

後輩に「レガシー」を

エンタメの世界は大きな転換期を迎えている。

これまでのようにテレビ中心の考えかたではなく、ネットの存在を少なからず意識していかなければならない。また、国内だけでなく海外を見据えたグローバルな活動を常に視野に入れていなければならない。

それは、日本独特のエンタメとしてテレビとともに発展してきたジャニーズにとって未知の領域であり、クリアすべき難題も少なくない。

だが近年、そのネットと海外というフロンティアにジャニーズ事務所も大きく踏み出そうとしている。2018年3月には事務所初の公式YouTubeチャンネル「ジャニーズJr.チャンネル」を開設、2019年3月には公式エンタメサイト「ISLAND TV」のサービス開始など、少し前までは想像できなかったほどジャニーズのネット進出は加速している。ネットメディアを通じてのライブの配信なども増えてきた。

そして現在そうした活動の主体になっているのは、若いジャニーズJr.の世代だ。嵐の新しい試みは、その意味でジャニーズの未来のために道筋をつける意味合いもあっただろう。嵐は自ら貴重な先例になることで「Jr.黄金期」出身者としての責任を果たしたのである。

そんなジャニーズの歴史をつないでいこうとする真摯さこそが、彼らが「王道」を歩み続けてこられた理由なのかもしれない。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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