嵐「非エリート集団」が国民的支持を得た理由 活動休止発表後「ネット進出」加速、後輩に先鞭

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こうして嵐の存在を日々当たり前のように感じられていた中で、2019年1月の活動休止発表は衝撃だった。だがやはり、どんな時も等身大の感覚を失わない普通さが嵐の魅力である。緊張感がみなぎる場でありながらも終始平常心に見えた活動休止発表記者会見の姿には、その魅力がにじみ出ていた。

それから2年近くが過ぎようとしているが、この間嵐は実に精力的だった。デビュー20周年を記念しての5大ドームツアーが2019年4月から12月にかけての分だけで32公演。最後の東京ドーム公演では、大野智が涙を流しながらファンへの感謝を伝える場面もあった。

また2019年6月にはデビュー20周年記念のベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2019」を発売、瞬く間にミリオンセラーとなった。また、『テレ東音楽祭』や『SONGS』(NHK)に初出演、ほかの音楽番組にも積極的に出演したのも印象的だった。

さらに先月、新しくなった国立競技場で7年ぶりの単独コンサートとなる「ARASHI アラフェス 2020 at NATIONAL STADIUM」が、コロナ禍のなか無観客有料配信で開催された。セットリストは、ファンからの投票を元にしたものだったことも話題になった。

同月には、最新オリジナルアルバム『This is 嵐』も発売。そして締め括りが、冒頭でもふれた大晦日に予定されている初の生ライブ配信になる。

活動休止発表会見のなかで、櫻井翔は、「2年近くかけて感謝の思いを伝えていく期間を設定した。これは我々の誠意です。なのでそれが届くように、これからもたくさんの言葉をお伝えし、たくさんのパフォーマンスを見てもらいたい」と語っていた。こうしたライブ、CD発売、そして音楽番組出演などは、その思いをかたちにしたものだろう。

活動休止発表後「ネット進出」を加速

だが驚かされたのは、一方で彼らが新しい試みに次々と挑戦したことである。それらは、活動休止を発表したグループと思えないほど、未来志向を強く感じさせるものだった。

ひとつは、ネットでの展開である。

2019年10月には嵐の公式YouTubeチャンネルを開設、同時に「A・RA・SHI」などシングル曲5曲について、ジャニーズ事務所のタレント初となるサブスクリプション型ストリーミング配信を開始した。さらに同年11月には全シングル曲の、2020年2月にはその時点でのオリジナルアルバム全収録曲のサブスクリプション型ストリーミングサービスも解禁された。

加えて、2019年11月にはTwitter、Instagram、TikTokなど5つのSNSにも進出、一斉にアカウントを開設したことも忘れるわけにはいかないだろう。

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