新型コロナウイルスは私たちの暮らしを変容させたが、その影響は「節約」にも及んでいる。これまで定番だった節約ワザが、ことごとく消滅の危機に瀕しているからだ。
これは笑い事ではない。1円でも安くしたいという庶民の知恵が通用しなくなるとは、じわじわ家計費がアップすることを意味するからだ。実際に、その影響は家計を苦しめている。
まず、食費問題。
これまでは、スーパーの特売セールをチラシでチェックしたり、値引きシール品を狙って閉店間際に出かけたり、「5%引きデー」にまとめ買いするというのが定番ワザだった。また、スーパーごとに異なる特売日をはしごするなど、複数の店を回っていた人もいただろう。
しかし、コロナ下ではどうか。電子チラシサービス「Shufoo!」が発表した買い物に関する意識調査によると、毎日スーパーに行っていた人の割合は、コロナ前の21.7%から現在では12.3%とほぼ半減したという。一方、 「週に1回程度」は24.5%から33.9%と9.4ポイント増、「月に2回程度」は1.3ポイント増、「月に1回程度」は0.3ポイント増と、全体的に来店頻度が低くなっている。
さらに、店でに滞在する時間も短くなった。「20分未満」が31.9%から45.7%と約1.5倍になったのに対し、「30分以上」(「30分~1時間未満」「1~2時間未満」「2時間以上」を合算)は31.8%から20.6%とダウン。
そのため、買い物の仕方も前とは違っている。「予定していたものだけを購入」が16.1%から30.4%と約2倍に急増し、「8割は予定せず、店頭で判断したものを購入」が20.3%から9.2%と半減したというのだ(「凸版印刷・ONE COMPATH『Shufoo!』調べ)。つまり、スーパーの値段を見る前に買うものを決めて、なるべくよそ見をせず、買い物が済めばさっさと帰る客が増えたことになる。
「その日の特売品で食費を安く」は絶滅か
「食費節約達人」の手法には2パターンがある。
先に1週間分のメニューを決めてそれに沿って買いものするタイプと、こまめに店頭に行ってその日の特売品を買って、そこからメニューをひねり出すタイプだ。家族構成や料理頻度でも異なるものの、「特売で安いものを買って使い切る」のを節約の柱としていた人は、方向転換せざるをえない。
しかも、先の調査によると、買い物にいく店を選ぶ理由は 「お店が近い、行きやすい」からが67.7%となり、「商品が安い」を上回る。移動時間を短くしたい心理があるわけで複数の店舗を買いまわることも減っているだろう。巣ごもり生活で購入量が増えているだけでなく、こうした買い物行動の変化も食費を押し上げていると思われる。では、今後の食費節約はどうあるべきだろうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら