三軒茶屋「保護猫と共存する賃貸住宅」の実態 高齢などの事情で飼えなくなる飼い主が多い

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今回、そのクリエーティブスペースでお話を伺ったが、猫たちは自由に歩き回って、餌を食べたり、ポーズをとったりしていた。猫の性格によっては知らない人が来ると脅えて隠れてしまうことがあるが、今居住している3匹は大丈夫のようだ。

餌やトイレの世話は住人、スペースを使っている人、協力してくれる近隣の住民でチームをつくり、ローテーションしているそうだ。

飲食スペース「NEKO NO HITAI」では現在、毎週金・土曜日午後、日本茶カフェ「Awo STAND」が営業している。

クリエイティブスペースでは、地域コミュニティをつくるイベント「SANCHACO茶会」を毎月開催(写真:シナモンチャイ)

オーナーの丸井さん(仮名)にお話を伺ってみた。

丸井さんもデザイナーという本業を持っているが、実家がお茶屋さんということで、実家のお茶を使った活動をしたいと考えていた。一方で猫も好きで、自分でも3匹の猫を飼うほか、地元での地域猫活動を行っているそうだ。

「地域猫活動はボランティアの力だけでは本当に大変で、行政のフォローも必要なんです。たまたま自分の住まいを探しているときに、サンチャコの存在を知りました。代表の東さんの考えを聞いてすばらしいと思い、自分も参加したいと思いました」(丸井さん)

丸井さんもペット可の物件を探していたが、3匹となると飼えるところがなかなかなく、住まいを見つけるまでに半年かかったそうだ。

カフェでは実家で販売している加賀棒茶を1杯250円で提供。加賀棒茶は、「一番茎」という、お茶の茎の中でもいい部分を用いて浅煎りで仕上げており、うま味と爽やかな香りが特徴。お店では丸井さんが丁寧にいれてくれる。サンチャコの感想を聞くと、「近隣の人が立ち寄ってくれて、猫やお茶の話ができる場所ができてうれしい」と語った。

猫、人、地域がつながる街づくりを広げたい

猫たちも養っていかねばならず、スペースの無料期間は12月で、1月からは料金がかかる。飲食店スペースの利用料金は10〜14時3000円、14〜18時4000円、18〜22時4800円。支払いのために、少しでも利益を上げていかねばならないだろう。

東氏は今後、猫と一緒に住める物件を都内のほかの地域にも広げていきたいと考えているという。

実は、サンチャコの地所そのものは東氏の祖母が亡くなる前に住んでいた土地で、今は親の名義。建物を家族共同名義とし、自身が運営するシナモンチャイが管理会社となっている。自分や家族の所有する物件のため、スピーディーに進められたと言えるだろう。

今後はほかの不動産オーナーや資産管理会社に積極的に展開し、取り組みを街に広げていきたいという。

今回、サンチャコを見学して、猫、人、地域を結ぶための実験場、というふうに感じられた。確かに、三者が結びつくことで、それぞれの課題がうまく解決されていくように思える。今のところ東氏自身も「自分自身がサンチャコで利益を追求することは考えていない」と語っているが、取り組みが広がっていくためには、ビジネスとして成立しなければならないだろう。2021年以後の本格稼働後が勝負となる。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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