猫が自分の名前も飼い主の声もわかっている訳 呼びかけてもツンデレだが実は聞き分けている

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知られざる猫の生態を解き明かします(写真:jw/PIXTA)
猫は「隣の部屋の虫の足音」のようなわずかな音も聞き逃さない優れた聴覚を持っている。最新の研究ではその性能だけでなく、聴覚と心のつながりも明らかになっている。猫専用ヒーリングミュージックCD付きの『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』を著した猫の心理学者が最新の研究から解説する。

猫の「ツンデレ」は実験でも証明済み

「私はこんなに猫を愛しているのに、猫は私のことをわかっているのかな?」

ふとしたときに、こんなことを考えたことはありませんか?

それもそのはず、猫は犬よりもポーカーフェイスで、感情が読めません。

2019年にカナダの研究者が発表した論文では、6329人に猫の動画を見せ、その表情からポジティブな表情なのか、ネガティブな表情なのかを評定してもらいました。すると、全体の平均正答率は59%と低いものでした。

この研究の評定は、ポジティブ/ネガティブの2択なので、でたらめに回答しても50%は正解します。それにもかかわらず、この正答率です。猫がいかに普段から表情を外に表さないかを示す結果だと考えられます。

そんな「猫のつれなさ」を示した研究があるので、ご紹介しましょう。

「猫は飼い主の声をわかっているのか」を調べたものです。

みなさんの猫に声をかけると、どんな反応をしますか?

猫の飼い主のなかには、「私の声をうちのコはわかっているのかな?」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。

そんな不安にこたえるべく、2013年にネコ研究集団CAMP NYAN TOKYOでご一緒している上智大学の齋藤慈子先生が、科学的な手法を用いてそれを明らかにしました。

「馴化—脱馴化法」という、人の赤ちゃんに対してよく用いられる心理学的手法を猫に応用しました。動物に共通して見られる、「馴れ」を利用した手法です。

リラックスしている猫に、①知らない人Aさん、②知らない人Bさん、③知らない人Cさんがそれぞれ猫の名前を呼ぶ声を1回ずつ再生して聞かせます。

1回目(Aさん)には「あれ?」となって耳を動かすなどの反応を示しますが、2回目(Bさん)、3回目(Cさん)となると、音に馴れて反応が鈍くなります。

そこへ、4回目の音声で「飼い主が猫の名前を呼ぶ声」を再生します。

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