ZOZO、カリスマ引退と大反省を経て描く未来 澤田社長はトップダウンから組織力の転換を推進

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またラグジュアリーブランドでも、こういう状況だと(若者などの新規顧客との)接点の確保が難しい。ゾゾタウンに対する期待で一番大きいのは、若者をとらえているところ。20代前半の顧客が多いので、そこに価値を感じてもらっている。

――ECモールはクーポンなどによる安売りの印象を持たれています。そのためブランドイメージへの影響を気にする高級ブランドは少なくありません。

お互い譲れない部分はある。ただ、以前は歩み寄りが難しかったが、今は少し歩み寄れる環境になってきている。

あとはパーソナライズの技術を今後どれだけ駆使できるか。ラグジュアリーブランドの商品をほしい人がサイトを訪れた時、カジュアルで安価な商品が画面に並んでいてもつまらない。

裏で購買履歴などを分析しながら、(顧客の嗜好や属性に応じて)トップページをまったく違う形で見せられる技術も近く実現していきたい。

ダイナミックプライシングの世界を目指す

――2010年代後半から低価格ブランドが急増し、「ゾゾタウンの印象が変わった」という声もあります。この先、低価格ブランドの出店を絞る考えはありますか?

足のサイズを計測できる「ゾゾマット」を使い、シューズのカテゴリーを強化している(撮影:風間仁一郎)

価格帯ごとの出店数のメドについての考えは特にない。低価格帯でも「尖っていて人気のある」ブランドさんがあれば誘致する。

どちらかというと、カテゴリーにこだわりを持って(ブランド誘致も)進めていきたい。今はシューズのカテゴリーを強化している。足のサイズを3D計測できるゾゾマットの技術を使いながら新規顧客も広げていく。アパレル以外のカテゴリーを複数増やしていきたい。

――自社ECサイトでは新商品を販売する一方、ECモールでは売れ残り在庫を集中販売するなど、モールをアウトレット的に利用する風潮も一部ブランドに見られます。

自社ECとECモールはけんかするものではない。

いろんなブランドを見ながらコーディネートを楽しんで買う人と、特定のブランドが大好きで必ずそこで揃えたいという人は、それぞれ一定割合でいる。リアル店舗においても、ショッピングモールで買いたい人もいれば、ブランド直営店で店員さんと会話しながら買いたい人もいる。それらは共存するものだから、特に心配していない。

 中期的にゾゾタウンは、(需給に応じて販売価格が変わる)ダイナミックプライシングの世界を目指すべきと思っている。過去の購入履歴やアクセス数、今何を見ているかなどを踏まえて、ユーザーが今日このサイトで商品を購入する確率がわかるようになってきている。一方の商品についても「この商品は今日売り切れる」といったことがだいたいわかるようになった。あとはこの2つをどうマッチングさせるかになる。

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