ZOZO、カリスマ引退と大反省を経て描く未来 澤田社長はトップダウンから組織力の転換を推進
――ゾゾタウンで商品を安く大量に売ることを重視する傾向が強まっていた、と。それに対するモヤモヤした思いは数年前からありましたか?
そうですね。会社が大きくなればなるほど、そう(大量の商品を価格訴求で売る状況に)なっていく傾向はやむをえない。売り上げを作っていくために、とにかくいろんな商材を入れていかなければいけないという側面はあった。
――前澤氏退任の直前には有料会員向け割引制度導入に反発したブランドの離脱や、PB(プライベートブランド)の失敗などの問題が露呈しました。
うまくいかなかったことを引きずっても仕方がない。「もう1回、PBに取り組むべきか?」という議論が社内であったわけでもなく、割り切りながら(PB事業撤退などを)進めていった。
ブランドさんとのコミュニケーションをもっと増やさなきゃいけない、という反省はすごくあった。それも踏まえて、ファッション企業である僕らはブランドさんと一緒に事業をやっていく必要があるという考えを、会社の方針として明確に打ち立てた。
コミュニケーションがスムーズになった
――ブランドとの信頼関係を回復できた手応えはありますか。
以前より距離感を縮められた。それはコロナの影響も大きい。ブランドさんが「(コロナ禍で来店客が大きく減り)ECがないと話にならない」というスタンスに変わり、われわれに対する期待もすごく高まった。コミュニケーションがスムーズに行えるようになった印象はある。
――楽天などほかのECモール事業者もファッション領域を強化しています。競争環境は熾烈なのでは。
ここまで愚直にファッション領域でテクノロジーを追求している会社はないと思う。最近出店が続いているラグジュアリーブランドには、「ZOZOMAT(ゾゾマット)」や「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」、ゾゾタウンのレコメンド機能など、テクノロジーの部分に興味を持っていただいている。
「うちのユーザーはこんな特徴があるので、まずこういう商品を売るのが良いのでは」などと対話しながら、商品構成を組む際に支援していることも強みだ。こういう細かい取り組みが(他のモールと差別化するうえで)意外と大事になってくる。
――今年からLVMHグループなどのラグジュアリーブランドが出店しています。これもコロナがきっかけだったのですか。
それは大きい。ずいぶん前から交渉していたが、一進一退みたいな感じだったので。これまでは日本法人と調整してから本国へ実際に行って話をする流れが多かったが、今はリモートで本国とすぐ話ができるようになった。営業環境としてはすごく良い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら