街中にいるハトが迷いなく巣に戻ってくる事情 小説から読み解く自然界のさまざまな生態系
伊与原:川上さんはどういうスタンスで執筆されているのですか。『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』を拝読しましたが、感想を一言でいうと、「油断ならない本」。真面目な話が続くと思いきや、次の言葉で笑わされる。あれだけ専門的なトピックを飽きさせず、わかりやすく書かれていて、本当に驚きですよ。
川上:そこは伊与原さんも僕も大阪出身なのでわかりあえると思うのですが、ユーモアは大事ですよね。
伊与原:確かに。どんな話でも緩急をつけて人を笑わせたい、というのは大阪人の基本的欲求ですから(笑)。
研究もプロセスは悲喜こもごも
川上:僕は、寝る前に原稿の内容を考えます。パソコンに向かっていざ書くときは、自分が考えた通りの順番を守りながら、余計なことも含めて書いています。僕も学者なので、真面目な論文はいくらでも書きます。
ただ、真面目な研究も、結論に至るまでは失敗もあったり、研究者仲間でもばかばかしいことも交えながら話し合って研究成果を挙げます。研究もプロセスは悲喜こもごもですからね。そんな論文などには書かれない紆余曲折も含めて書いたら、一般の方に興味を持ってもらえるのではないかと思っています。
伊与原:『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』の「第三章 鳥類学者は、偏愛する」で書かれている、鳥の色を「ガンダム」のたとえで解き明かすくだり、めっちゃくちゃ面白いです。ズアカアオバトが、「シャアザク仮説に合致している」という表現、面白すぎますよ(笑)。
川上:ありがとうございます。ズアカアオバトと酷似したアオバトがいるところでのみ、ズアカアオバトのアタマが赤くなることを、赤いモビルスーツのシャア・アズナブルとザク、ジオングなどの系譜と重ね合わせて書いた箇所のことですね。こんなことは、絶対に論文では書けませんが、面白いことを思いついたら、どこかで書きたいですからね(笑)。
(後編に続く、11月24日配信予定)
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