借地権マンションに土地を「貸す側」の論理をおさえておこう。最近目立つのは、神社だ。著名な例を挙げておこう。
・成子天神社×パークタワー西新宿エムズポート
・赤城神社×パークコート神楽坂
・下鴨神社×J.GRAN THE HONOR 下鴨糺の杜
下鴨神社に至っては世界遺産である。こんな由緒正しく、神聖な場所でなぜマンションのような景観だけでも問題になりそうなものが建つのか?それは財務事情にある。神社はお賽銭だけではやっていけないのだ。敷地と建物の維持・管理・建替えには多額のお金がかかる。その捻出には持てるもので換金できるものは土地しかないのだ。その土地を手離せないからこそ、借地として有効に活用しなければならない。
幸い、これらの神社は立地がいい。最寄り駅は、上から原宿、西新宿、神楽坂になり、京都は誰もが知る観光の中心地である。
神社以外の借地権マンション事例では、大使館や病院や会員制社交クラブなどもある。これに加えて、役所の事例が出てきた。渋谷区役所がそれだ。役所の立地はたいていその地域の中心地にある。いずれのケースも土地を手放すことはできない程の好立地ということだ。
2.2倍に値上がり!伝説の借地権マンションも
過去に新築価格から値上がった借地権マンションはたくさんある。その中でも代表的なものは、シティタワー品川だろう。敷地の持ち主は東京都で、販売価格を都議会で決めてから相場が上昇し、販売時には超格安になってしまった。
モデルルームもなく、写真ひとつない殺風景なホームページでも、最寄り駅が品川で、アドレスは港区、80㎡台で2000万円台から購入できるとあって応募は殺到した。総戸数828戸に平均倍率が17.65倍になり(申込者が14614人)、購入者は5年間自己居住することが条件になった。5年後に売却された価格は少なくとも50%以上値上がりし、今では値上がり率は118%になった。つまり、築10年にして元の価格から2.2倍になったのだ。
借地権マンションの値上がりの王道のパターンは、稀少立地だ。例えば、フランス大使館の敷地に建つプラウド南麻布は築5年が経過して、新築時よりも46%値上がりしている。住戸の向きは森のような大使館側と前面道路側に分かれるが、大使館側は大きく値上がりしている。
稀少な一等地で格別な眺望が手に入る場合、借地権であるかどうかは意味をなさなくなる好例だろう。不動産は唯一無二なので、そのロケーションと景観は代替するものがない場合に価格競争力が相場で語ることができなくなるものだ。
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