日本のポエム化は中田英寿から始まった! ポエム化を助長するのは安倍さんとEXILE

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「マッチョ道徳」を警戒

「絆」周辺はものすごく警戒してかからないといけない。震災のときも盛んに言われたでしょう。「絆」「絆」ということで、復興特別税もほとんど議論なしにありになった。もちろん、それはいいことですよ。でも、「絆」というのは道徳律ですから、逆らうことができない。まったく反論できない空気になることが恐ろしいわけです。反論しようものなら、「お前、仲間を見捨てるのか」となりますから。

「仲間との絆」が何より大事な任侠の世界では、仲間を裏切ったやつは殺してもいいことになっている。男の世界の「マッチョ道徳」って、まるっきりポエムですよ。そういう意味で、私はEXILEを強く警戒しているんですけど。

──EXILEを警戒?(笑)

ヤンキーの王道ですよね。男、仲間、礼儀。全部、EXILEです。EXILEの持っている、ちょっとコワモテで、乱暴かもしれないけど、気のいいヤツで、礼儀正しくて、先輩を立てる。その筋の通った男らしさは、安倍首相も大好きなんです。安倍さん、何かっていうとEXILEを呼び出すでしょ。

──夕食会に呼んだり、コンサートに行ったり。

実は、戦前・戦中に日本がすごくポエム化しました。「欲しがりません、勝つまでは」とか「ぜいたくは敵だ」といった国策標語が蔓延して戦争に傾斜していった。ポエムを全員が唱和して、気分を醸成し、それこそ全新聞が同じ記事を書くようになった。

これはあの時代に限られた話だと思うかもしれませんが、何かの拍子に一気に国民世論が傾く可能性はあります。ポエムがはまって国民の気持ちが高ぶると危ないです。

(撮影:尾形文繁)

上田 真緒 ライター、編集者

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うえだ まお / Mao Ueda

ビジネス誌、ビジネス書の編集者・ライター

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