サイゼでバイトする「星付き料理人」の仕事観

すごい人のやり方を「丸パクリ」するのが近道

僕は調理師学校にいるときから、一流の料理人になりたいと思っていました。でも、卒業したばかりの僕は高級中華料理のチェーン店に就職してしまいました。もちろん、そのお店でも学べることはありましたが、僕の求めていたレベルとはかけ離れている。そこで一流になるには気の遠くなるほど時間がかかるでしょう。一流になれないまま終わるかもしれない。

半年で見切りをつけて、吉泉という一流料亭で修業を始めました。そのとき、僕がものすごいスピードで成長していたんです。感動すら覚えました。一流になるなら、一から自分でやらずに、すでに一流になっている人に教わればいいんです。

この体験から僕が導き出したのは、

・一流になりたいなら一流に学ばない限り、そのレベルには到達できない
・一流に学んだほうが超速で成長できる

という2つの結論です。

人生は、どんな人と出会って、その人からどんなことを学べるかによって、大きく変わります。「人生を変える人と出会ってない」と思うのなら、これから出会えばいいんです。

ちなみに、僕はイタリアに行く前に、洋食屋に勤めていました。そこでは、タルタルソースをつくるために毎日大量のマヨネーズを業者さんから仕入れていました。

あるとき、「自分でつくったほうが安いんじゃないか?」と気づきました。原価を計算してみたら、メーカー製の商品を買うよりも5分の1のコストで済むことがわかりました。たぶん加工費や容器代などが含まれるので高くなるのでしょう。

「自分でマヨネーズをつくっていれば、もっと早く営業利益率が上げられたのに」とショックを受けました。その悔しさと、吉泉での修業経験が合わさって生まれた、というのがマヨネーズ理論です。

最初から「最強の魔法」を覚えに行け

ドラゴンクエストというロールプレイングゲームをご存じでしょうか? 主人公が世界を冒険しながら、強い魔法や武器を手に入れて、最後にボスを倒すというゲームです。

『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』(飛鳥新社)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

僕のマヨネーズ理論は、たとえるなら最弱のレベル1の段階で最強の魔法や武器を手に入れようとすることです。いきなりメラゾーマやイオナズンという最強の魔法を覚えに行ったり、ロトの剣という最強の武器を取りに行きます。

でも、レベルが低いから最初はなかなか使いこなせない。そして、MP(マジックパワー)という魔法を使うときに消費する能力値が低いので、1回しか使えなかったり、MP切れを起こしたりしてめちゃくちゃ疲れます。

ただし、その分得られる経験値は非常に高くなります。どんどんレベルが上がっていき、その結果メラゾーマやイオナズンをバンバン使えるようになり、ロトの剣をブンブン振り回せるようになるのです。

最初から「最強」を目指すのは簡単ではなく、それなりにハードルは高くなりますが、落とし穴を避けることができれば、堂々と近道を歩むことができます。

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