指導死?部活顧問に居場所奪われた高1の絶望 適切な指導だったのか、11月13日控訴審判決

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自殺1日前の3月2日、悠太は事前告知なく、顧問に呼び出された。

音楽準備室で上級生4人を立ち会わせ、理由も告げず、悠太に「何のことかわかっているな?」「俺なら黙っていない。お前の家に怒鳴り込み、名誉毀損で訴える」などと叱責した。このとき顧問は、悠太に許していたパートからの連絡に対する返信も禁じた。

さらに「開示資料によると、立ち会った先輩が悠太に『辞めてほしい』と言っていた。『辞めさせたい』と思っていたのは顧問なのに、部員に言わせたのです。部内の同じパートの人について、悠太から愚痴を聞いたことがない。それほど関係がよかったんですが、立ち会った先輩の中にはパートの先輩もいました。こうした対応で悠太の居場所が奪われたんです」(遺族)

「部員にメールをしないこと」という指導は、顧問が独断で行った。悠太は朝も、昼休みも、放課後も部活動に明け暮れていた。悩みながらも続けようとした「居場所=吹奏楽」を奪われ、さらに孤立していく。

指導時に上級生を立ち会わせたことについて、顧問は部のOB・OGおよび保護者への説明会(3月13日)で「1対1で指導すると、私もちょっと何かあったら困るなという予感がしていた」(同録音反訳)と弁明した。

教育の専門家なら気をつけるべき「孤立」

「居場所」だった部活動内での孤立。これは子どもの自殺を防ぐ責務がある「教育の専門家」である教師なら、気をつけるべき重点項目のはずだ。

文科省が出している「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」(2009年)というリーフレットの中にも、「居場所がない」などの孤立感や、「私なんかいないほうがいい」という無価値感などは、自殺に追い詰められる心理として紹介されている。その積み重ねにより、「心理的視野狭窄に陥り、容易に自殺行動に発展していく」(訴訟で提出された「精神科医・松本俊彦意見書」)。

生徒Cが悠太から部内恋愛の話を顧問に報告したことで、悠太は唯一の相談相手に裏切られたと思った。悠太は亡くなる前日(2日)の夕方、Cの家を訪ねているが会えていない。

これについて顧問は「2日の日に悠太が、そちら(生徒C)のうちを訪ねているのね。そのときも会うな、絶対関わるなって言ってるから、彼は会わなかった。…(中略)…だから先生はね、会わないで正解だったのかなと思うんです」(3月4日の吹奏楽部員に向けた説明、同反訳)と言っている。

「顧問は『会わないで正解』と言っていますが、その前からCに『会うな』と言い、2人の関係を断ち切らせています。これにより、決定的に悠太が追い込まれたのだと思います」(遺族)

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