指導死?部活顧問に居場所奪われた高1の絶望 適切な指導だったのか、11月13日控訴審判決

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2013年2月、悠太は吹奏楽部内で孤立状態となったが、生徒Bと生徒Cとは距離が縮まっていった。そして大事な2人には隠し事をしまいと、市内のカラオケ店で秘密を打ち明けた。

それは悠太が過去に女子部員と部内恋愛していたことだ。生徒同士の恋愛は問題ないはずだが、部則で部内恋愛は禁止されており、禁止事項は顧問への報告を求められていた。そのため悠太から話を聞いた2人は顧問に報告をする。ただ報告したら顧問がどう対応するのかを2人が想定した形跡はない。

「部の決まりの中で、恋愛禁止は顧問が最も重視しており、『部則違反だから報告しないとな』となったんです。報告すると顧問は、『言ったことはでたらめ』『信用するな』など言っていました」(生徒Cの証人尋問)

顧問は悠太本人に確認していない

顧問が取り合わないため、2人は部長に話した。その後、顧問が部長に確認すると報告内容を知っていたことから、顧問は「悠太が部内恋愛のことを吹聴した」と思い込む。事実は部内恋愛が禁止であることから、悠太も女子部員も隠しており、悠太が吹聴したわけではない。

顧問は生徒CとCの家族との話し合い(自殺翌日の3月4日)の中で、誤った認識を話している。

以下は証拠として提出済の録音反訳だ。

顧問「言いふらしているということに対して許せなかったですね、僕はね」

生徒C「それ、言いふらしているというのは事実だったんですか」

顧問「本人から聞いたんです」

その後も顧問は「こんなありもしないことを、こうやって言いふらして。それ聞いてるわけですから、そういう生徒もいるわけですから、何人か。普通ならもうだめですよ。学校にだっていられない」(同反訳)と発言を続けた。

ところが「悠太が言いふらしたのを見聞きしたという情報はありません。学校の資料でも、誰が言いふらしていたのかは不明でした。ほかの生徒である可能性もあるとされていました。それでも、顧問の思い込みで悠太を責めたのです。教育効果よりも、私的感情が働いていたのです」(遺族)

実際、顧問は悠太に確認していない。のちの、遺族との話し合い(2013年11月26日)で、「今になって思うと、まず本人に確認をすべきであったかもしれない」と発言している。にもかかわらず、「学校にだっていられない」などと、あたかも孤立させる指導を正当化した。

「仮に退学させるほどの問題であれば、学校としての対応が必要なはず。しかし顧問が独断で指導をしたのは、〝許せない〟という私的感情があったからではないでしょうか」(遺族)

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