仕事が楽しくない人に足りない「ファシる」力 会議の円滑化だけではなく仕事の生産性に直結

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会議中は、いろいろな意見を整理するロジカルシンキング力も必要になります。ただし、これらビジネススキルといういくつもの「力」を発揮しただけでは、人間味のない冷たい印象を与えてしまうかもしれません。私は30代の半ばまでこのビジネススキルを一生懸命勉強しましたが、決定的に足りないものがありました。それが、コミュニケーション力です。

どんなにビジネススキルを磨いても、コミュニケーション力が不足していたらうまくいきません。コミュニケーション力は、人と信頼関係を築かなければ生かせません。さらに身に付けておくべきものは、「この人のためならば一肌脱ぐか」と思ってもらえるような人格力。問題解決を行うにはこの7つのスキルをバランスよく磨くことが必要だと私は思っています。中でも、ファシリテーション力は仕事全体の土台となり、核となる位置づけです。

ファシリテーション力は、メンバーから意見を引き出し、チームの生産性を高めることが求められるような管理職やプロジェクトリーダーはもちろん、それ以外の人にも必須のスキルです。それこそ何かの「問題を解決する」「企画する」「やり方を考える」仕事に携わっている人であれば年齢、役職、性別に関係なく必要なスキルなので、若い人、それこそ新入社員でもこれからは身に付けておくべきスキルであり、仕事の幅が広がるきっかけになるものだと思っています。

ファシリテーション力を高めることは、現在の時代背景にもマッチしています。決められた仕事を決められたやり方(手順)で進める、いわゆる作業・処理系の仕事は、システム化、自動化、さらにはAIの登場によって急速に人の手から離れていっています。こういった時代背景から、誰もが「考える」ことが求められ、チームで意見を出し合い、相乗効果でクリエイティビティーを発揮していくことが大切だと思います。そのためには、やはりファシリテーションスキルが必要なのです。

いい会議を行うための3つの条件

かくいう私も、最初から上手なファシリテーションができたわけではありません。NECグループの会社員時代から数えて、私は年間1000本以上の会議を仕切ってきましたが、ファシリテーションやファシリテーターの本質など知る由もなく、当初は、単なる「会議の進行役」という認識でした。待ったなしで次から次へとやってくる会議をいかにして“さばく”かに必死でした。

当時、自分なりに、ファシリテーションに関する書籍を読み、会議に関するワークショップを見つけては参加するなどしてとりあえずの知識を身に付け、本番に臨み「まとまらなければ、最後は、自分の意見をゴリ押しするしかないな」ぐらいに思っていました。しかし、実際に、そのとおりにしたら社員から猛反発され、部下の女性からは、「園部さんは、人の気持ちがまったくわかっていない。これじゃ誰もついていきたいと思いませんよ」と直談判されました。

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