但馬地域を救う大学になるか――。
「コウノトリと共生する街」として知られる兵庫県豊岡市は、歴史ある城崎温泉も擁する県北部の但馬地域にある。だが、約8万人の人口は減少の一途をたどり、若者は高校を卒業すると街を離れ、過疎化に歯止めがかからない。
10月22日に設置認可下りる
「ならば地域おこしで大学を作ろう」。ここまではよくある話かもしれない。違うのは、劇作家・演出家で劇団「青年団」やこまばアゴラ劇場を運営する平田オリザ氏を学長に招き、「観光と芸術」という、一見まったく畑違いの2つの看板を掲げる専門職大学が創設されることだ。
その名も「芸術文化観光専門職大学」。この10月22日に文部科学省の設立認可が下り、2021年4月の開学が決まった。その前から高校生の関心も高く、1学年80人の定員に全国から3000通もの資料請求が押し寄せているという。
感染症対策を講じて対面で実施した9月のオープン・キャンパスは毎回満席で、一部の参加希望者を断った人気ぶりだ。来年以降は、学生たちの研修の場としても活用される「豊岡演劇祭」も、市内複数会場で同時期に開催しているが、コロナ禍で規模を縮小したにもかかわらず、全国から5000人もの観客が集まった。過疎化対策から一転、この大学が「大化けする可能性がある」と担当者たちは手応えを感じている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら