経営破綻したウィルコム、PHS失地回復への厳しい道のり

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経営破綻したウィルコム、PHS失地回復への厳しい道のり

2月18日に会社更生法の適用を申請し経営破たんしたPHS会社ウィルコム。負債総額は2060億円で、国内通信会社として過去最大の倒産となった。同日、企業再生支援機構へ支援を申し込み、再建に向けてソフトバンクやファンドへ出資を要請中だ。

久保田幸雄社長は「(私的整理の一種である)事業再生ADR(裁判外紛争手続き)を申請したことで、新規の顧客獲得が難しくなり、解約もしだいに増えた」と、破綻の経緯を語った。

400万以上の契約者を抱えるものの、携帯事業者との激しい競争で苦戦し、ウィルコムの資金繰りは徐々に逼迫。昨年9月末を支払期日とする122・5億円の借り入れ返済にメドが立たず、ADRの利用に踏み切った。この際作成した再生計画案には、2009年度中に約10万回線を獲得するという計画があった。

だが、もくろみは大きく外れる。ADR発表でかえって利用者の不安を強め、申請直前の8月末から今年1月末までの間に契約数が23万も減った。コマーシャルや販売促進などマーケティングに充てる資金に窮し、顧客が流出する悪循環。返済猶予を含む事業再生計画は銀行の合意を得られず、最終的に法的整理へ追い込まれた。

ソフトバンクの狙い

会見で具体的な再建方針は明らかにされなかったが、現行会社を既存PHSと通信速度を高速化した次世代PHS(通称XGP)を行う2社に分割する案が有力。後者への出資を検討しているとされるのがソフトバンクだ。

携帯各社では「LTE」と呼ばれる次世代通信サービスを10年末から順次開始する。その最高通信速度はXGPの約5倍。また、事実上の世界標準といえる規格で、「基地局や設備機器の価格はグローバルな規模の経済が働く。日本独自の規格である次世代PHSは価格競争上、不利だ」(JPモルガン証券・佐分博信アナリスト)。

にもかかわらず、ウィルコムへ肩入れするソフトバンクの意図を測りかねる業界関係者は少なくない。

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