行かないという選択肢はなかった
伊佐山:まずは、松田さんからお聞きしたいと思います。松田さんはIBMにいらして、そこからソースネクストという会社を立ち上げ、今は東証1部上場企業の創業社長です。なぜ、シリコンバレーにいるのでしょうか。
松田:シリコンバレーという地域は人口300万人もいないにもかかわらず、グーグル、アップル、フェイスブックの上位3社だけで時価総額が100兆円を超えています。普通に考えて、ありえない集積度だと思います。
私たちはIT(情報技術)でビジネス展開すると決めていたので、ITの最先端の地であるシリコンバレーに行かないという選択肢はありませんでした。だから、最初は、短期出張という形でシリコンバレーに行っていました。しかし、短期間ですと、ミーティングのスケジュールもとれないことが多く、最初は1週間だった出張が2週間、1カ月と、だんだん長くなっていきました。おのずとアライアンスが広くできてきたので、常駐したら、ものすごく大きな変化が起きるのではないかーーと思ったのが、最初のきっかけでした。
伊佐山:外村さんは、ベイン、アップルという大企業を経て、シリコンバレーで自らベンチャーを創業し、今や自分の会社を経営する一方で、米国のベンチャーのevernoteの日本起ち上げを手伝って、日本側の会長を務めていらっしゃいます。シリコンバレー生活が長いと思うのですが、なぜシリコンバレーなのでしょうか。
外村:私はシリコンバレー生活の前はアップルに在籍していました。在籍中に休職して、妻と博多からヨーロッパまで海路と陸路で旅をしていた最中に、アップルの友人が会社を立ち上げたいので「シリコンバレーに来ないか」と、声をかけてもらったことがきっかけです。よくメディアの方々から「ヨーロッパでMBAを取ったときに起業したいという気持ちになったのですね」と聞かれるのですが、まったくありませんでした(笑)。ほとんど“はずみ”で行きました。私の周りにはそういう人が多いですね。
松田さんのように目的を持って、シリコンバレーに来ているのは最近の傾向で、むしろ長くいる人ほど、「青空があったから」という話が出てきます。私も「誘われて盛り上がっているから」というのが正直なところです。シリコンバレーに来てみると、「大変だな」「リスクあるな」と感じることもなく、周りに助けてもらいながら、いろいろなことができてしまった(笑)。
シリコンバレーに長くいて自分の会社を起ち上げたりしている理由は、非常にワクワクする人が多いからです。日本にいると、気を遣わなければならないなど、本来、やりたいこと以外に使うエネルギーが多いですが、シリコンバレーにはない。そして、どこかに行ったり、人に会ったりすると、「おっ」と思うことが次から次へとやってくる。だから「飽きない」。刺激が終わらない場所ですね。
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