「毎日が暴力」高2女子が見た留学先の壮絶実態 授業中にマリファナ、家では「使用人扱い」…

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そのうえで、何か相談したいこと、困ったことがある場合は次の順番で連絡するように伝えられたのだった。

① ホストファミリー
② 現地にいる団体のコーディネーター
③ 自分の家族

 

留学生がホストファミリーや学校とトラブルを起こした場合や連絡の順番を守らずに行動したときには「NGカード」をもらうことになり、3枚たまると強制帰国になるとの説明がなされた。

「高校2年生での1年間の留学は大学受験を見据えてきている子がほとんどです。スクールイヤー1年分(実質10カ月)の留学ができたかできなかったかで、進路は変わってきます。なんとしても成し遂げたい、そんな思いでいましたから、強制帰国は避けたいというのはどの学生も同じだったと思います」

センター試験の廃止や大学の入学定員厳格化など、何かと話題の多い最近の大学入試。凜さんはまさに新入試制度の1期生となる学年だった。

近年の大学入試ではいわゆるAO入試など推薦入試も増えており、有名大学の中には1年(1学年分)以上の海外留学経験者を対象に行う入試もある。ここへの出願を考えて留学に挑む生徒も多くいるのだ。

「ルールを破って強制帰国になったら、留学経験者枠での大学への出願もできなくなります。親に大金を出してもらっているのに、それが全部無駄になるかと思うと、なんとしてでも耐えねばと強く思いました」

マリファナも暴力沙汰も文化のうち──。そう自分に言い聞かせたが、学校の荒れ具合を文化として受け入れて、そこに馴染む努力をすることに何の意味があるのか。疑問を拭い去ることはできなかった。

「貧困世帯が多くある、生のアメリカの姿を知ることができたのはよかった」と前向きに捉えようとするものの、それだけでは済まされない事態に発展していく。

ハロウィンに友達から渡された手作りのケーキ。中にはマリファナが混ぜ込まれていた。「匂いもするのですぐにわかります。食べるとちょっとふわふわした気持ちになるし、これはおかしいと思いました」。身の危険を感じたという。

家に帰ると「まるでメイド」

体を休めるはずのホスト宅の居心地も、日に日に悪くなっていた。団体の説明からは、しっかりとした食事をホストファミリーが用意してくれるものと思っていたが、実際に出されるのは冷凍食品ばかり。お腹が空きすぎて倒れそうになったこともあると言うが、家族も同じものを食べていたため、文句は言えない。しかし、凜さんには食事以外にも休まらない理由があった。

「だんだんと家事などの手伝いが増えて……はじめはちょっと子どもたちの面倒を見るくらいだったのが、洗濯も頼まれるようになり、下の子2人を毎日公園に連れていくこともいつの間にか私の役割になっていました。扱われ方もまるでメイドみたいな感じでした」

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