「毎日が暴力」高2女子が見た留学先の壮絶実態

授業中にマリファナ、家では「使用人扱い」…

実際にアップされた動画を見せてもらったが、狭い通学バスの中で乱闘と呼べるほどの殴り合いが起こっていた。だが、これだけひどい状況ならば彼女はなぜ斡旋団体に報告し、学校を変えてもらうことをしなかったのか。話を進めると、そこには、学生心理につけこんだ巧みな仕組みが見えてきた。

凜さんが留学するにあたって頼ったのは、海外に本部を置く留学斡旋団体だった。世界各国の留学生に海外で学ぶ機会を創出してきた団体だ。

受け入れ先となるホストファミリーもボランティアで留学生を受け入れてくれ、公立校の場合、学校の費用もかからない。凜さんは『ボランティア』という言葉から、留学生との交流を楽しみにしている温かい家庭や学校が迎え入れてくれるのだろうと想像していたと話す。

日本にも事務所があり、HPを見ると、こちらでは日本への留学の斡旋もしていることが見て取れる。日本のホストファミリー募集のページも見受けられ、心温まる交流の様子が体験談として書かれていた。

そして、HPには日本から海外へと留学するには一定の語学力が必要なことなどが書かれていた。つまり、応募しても全員が行けるわけではないということだ。費用は1年間で100万円ちょっと。年間の留学にしては少し安めの設定だが、それでもそれなりの金額だ。

ネット上の掲示板には「せっかく受かったので行かせてやりたいのですが、○○○○○からの留学はどうでしょうか?」などと、団体の名前を挙げて情報を求める親と思われる人からの書き込みも見られた。返信されたコメントは、留学はとてもいい体験になったというものだった。凜さんも留学が許可されたという連絡をもらったときはとてもうれしかったと話す。”選ばれし者になった”そんな感覚だったのかもしれない。

親子合宿で繰り返し聞かされた「NGルール」

留学前には同じ団体からその年に出発することが決まった子たちを集めての2泊3日の研修が都内で行われた。全国から50人ほどが集まっていたという。ホストファミリーと旅行を楽しむ様子や、日本人の学生が現地の生徒と楽しそうに過ごす姿など、そこには憧れていたとおりの留学風景が映像として映し出されていた。

この宿泊研修中に示されたのが、現地でトラブルが発生した場合の対処法だった。この宿泊行事は親子での参加が義務付けられていたのだが、子どもたちの自立を促すために、「日本の家族との連絡は極力避けること」と説明された。

些細なことで「帰りたい」と言い出し、親に泣きをいれて帰国することになっては、留学に出す意味がないと、真摯に説明をしているように聞こえた。

続いて出てきたのが「NGルール」。斡旋団体の関係者は「学校もホストファミリーも善意で皆さんを受け入れてくれている」と強調。まずは、現地の学校に慣れること、多少の違和感は「文化だと思って受け入れましょう」と、繰り返し繰り返し話されたという。

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