脳科学では「女性管理職は美人だと損」なワケ 一方で「イケメン男性は仕事で得をする」不思議
かつて竹内一郎さんの『人は見た目が9割』(2005年、新潮社)という本がベストセラーになりました。ビジネスや恋愛などの場面で、どうしても人間は「見た目」に引っ張られてしまいます。しかしそれで、損をすることもあります。では、どうすればいいのか? それを行動経済学と脳科学の視点から考えてみました。
「イケメン男性」は仕事で得をする傾向にあるが…
中野:「見た目」が判断に与える影響を調べた実験では、男性の場合、見た目が整っている人のほうが得をするという結果があります。しかし女性の場合、あまりにもたくさんの実験があるので、その結果を一括りにして述べにくいのです。
そこで少しデフォルメしていいますと、男性の仕事を支援するようなサポーティブな仕事の能力は、容姿がいいときに高く評価されます。例えば秘書が容姿に優れていると、仕事のレベルも高いと思ってもらえるのです。
ところが、リーダーシップを取る管理職やビジネスパートナーに女性が就いている場合、つまり自らの能力を発揮しなくてはならないような仕事だと、容姿のいい女性は「決断力に欠けるに違いない」などと、持っている実力を低めに評価されてしまうのです。
つまり女性は、その外見から「女性的である」「美人である」と見なされると、堂々とした振る舞いをした場合に違和感を与えることになり、必ずしも仕事上で外見がプラスに働くわけではないのです。
少しショッキングな結果を見た実験があります。作文に顔写真を付けて評価をさせる、というものでした。
用意したのは、見た目のいい男性、見た目が普通の男性、見た目のいい女性、見た目が普通の女性の写真で、見た目のいい、整った顔立ちの男性の作文が、一番レベルが高いと評価されました。
一方、見た目のいい女性は、見た目が普通の女性の文章よりも、点数が低く付けられてしまいました。評価をする側が「この子は見た目で得をしているはずだから、文章がうまいわけがない」と判断してしまったということです。