脳科学では「女性管理職は美人だと損」なワケ 一方で「イケメン男性は仕事で得をする」不思議
学校でも見た目がいい女の子は、「この子は美人なのだから、頭のほうは悪いのではないか」などと思われてしまうことが多く、容姿のよさによって女性は損をすることがあります。一方の男性の場合、容姿のよさで損をすることは女性ほどはないということがわかっています。
女性は業務遂行能力で評価されたいなら、自分の容姿のよさをアピールするよりも、その部分は控えめに抑えておいたほうがいい。そのほうがむしろ、自分の能力を発揮できる場が広がるということを覚えておきましょう。就職活動やビジネスにおけるプレゼンテーションでも、このことは役立つと思います。
女は女の容姿をどう判断しているのか?
中野:また、男性が女性を見た目で判断する場合と、女性が女性を見た目で判断する場合では、その結果が異なってきます。少し物騒ですが、階段の上から子どもを突き落とした犯人は誰なのか、それを答えてもらうという仮想の課題がありました。
まず、犯人は子どもです。「見た目のいい男の子、見た目のよくない男の子、見た目のいい女の子、見た目のよくない女の子」の四人のうち、誰が犯人なのかを被験者に推量で答えてもらうのです。
この場合、一番損をするのは見た目のよくない男の子でした。その次に犯人扱いされたのが、見た目のいい女の子でした。
さらに、評価をするのが女性だったときには、見た目のいい女の子が最も損をすることになりました。見た目のいい女の子に対して、女性は厳しい目を向けるということがよくわかると思います。
ただ、生涯賃金などの尺度では、見た目のいい女性のほうが得をしているといった論調もあり、「美人はそうでない人よりも生涯年収が何千万円も高い」と見積もる人もいます。
容姿の整った女性の能力が低く評価される、見た目のいい女の子が犯人扱いされやすいなどの結果を見ると、容姿のいい女性は、男性の助けがなければ、やや損をしやすいのかな、というのが総合的な判断になると思います。
真壁:行動経済学と結び付けるのは、ちょっと難しいかもしれませんが、一般論としては、見た目はやはり重要なのだと思います。
私が銀行にいた頃、人事部に、不思議な人物がいました。誰かが目の前のイスに座った瞬間、「その人がどんな人なのかがわかる」と言い切るのです。その人はリクルーターとして新入行員を選ぶ役割だったのですが、要するに、見た目、立ち振る舞い、話し方、こうしたことを総合して合否を判断するのだそうです。これだけの判断材料で、会ったばかりの人を一瞬で判断するというのです。
その人はその後、銀行で出世して偉くなったのですが、その話を聞いた当時は「そういうものかな」と、ただ思っただけでした。しかし、その人にいわせると、人間の外見は変えることはできませんが、外面を取り繕うことは可能であり、例えば表情などは、本人の意識次第で、相手が受ける印象がまったく変わるそうです。
表情のなかでも、とくに目を見ていると、だいたい相手が何を考えているのかがわかるとも話していました。私も銀行でマネージャーをやっていたことがありますが、その当時は部下が何を考えているかは、じっと目を見ていると、何となくわかったような気がしました。
それはなぜでしょうか? やはり、自信を持って仕事もうまくやっている、というようなことは、言葉を発しなくても、その人の立ち振る舞いから何となくイメージが湧いてくるものなのです。見た目、表情、立ち振る舞いなどは、その人を理解しようとするうえで、やはりそれなりに役立つ情報だったと思います。