在宅勤務の広がりは、国内だけのことではありません。地球的な広がりを持つ変化です。
「リモート」とは、「物理的な距離に関係なく勤務できるようになった」ことを意味するからです。その距離は、30㎞であろうが、1万㎞であろうが、同じことなのです。
したがって、言葉の壁を克服できれば、日本に住んだままでアメリカの企業に勤務することが可能になりました。
また、組織は、全世界から優秀な人材を(その国にいたままで)リクルートできます。
これがもたらす変化は、想像を絶するものです。
日本人がやらなければ、インド人やフィリピン人がやるでしょう。
アメリカでは2000年頃から遠隔移民が始まっている
リチャード・ボールドウィンは、『グロボティクス』(日本経済新聞出版社、2019年)の中で、これを、「テレマイグランツ(遠隔移民)」と呼んでいます。
実は、こうした形態の勤務は、アメリカではすでに2000年頃から実際に行われています。
とりわけインドとの間でこのような勤務形態が急拡大し、アメリカの企業のコールセンターは、事実上インドに移転しました。また、データ処理や会計・法律の仕事についても、インドの専門家がインドに住んだままでアメリカ企業に働く形態が一般化しました。
これがアメリカ経済の生産性を引き上げることに大きく貢献したのは、間違いありません。
テレビ会議の広がりによって、こうした勤務形態はこれから一層拡大するでしょう。
こうなると、全世界の有能な人材と競争することになります。
こうした時代に、生き残れるかどうかが問題です。
日本では言葉の壁があるため、これまで、こうした国際競争からは守られてきた面が強かったのです。しかし、その状況が急速に変わりつつあります。
日本が世界の潮流からさらに遅れてしまうことが危惧されます。
しかし、逆に言えば、労働力人口が減少する日本において、経済を再活性化するための切り札ともなりえます。
要は、新しく可能となった「働き方」を、どのようにして活用するかなのです。
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