カリフォルニア「エンジン車禁止」発表の意味 環境規制でリードする同州が世界に与える影響
対する日本では、2018年には経済産業省が実施した自動車新時代戦略会議において「2050年までの長期ゴール」を示した。
だが、これは2010年代に何度か書き換えられた「2030年の次世代自動車の国内普及目標」をベースに、2010年代後半から技術革新が一気に進むCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)の観点を織り交ぜた、達成目標という位置付けにとどまっている。
こうした達成目標という形が近い将来、日本版ZEV法へと引き上げられる可能性はあるのだろうか。
筆者がこれまで、霞が関界隈の関係者らと定期的に意見交換してきた中では、「いわゆる護送船団方式で国が自動車業界を強制的に引っ張るような時代ではない」という声が多く、あくまでも国は調整役であり、自動車メーカーの自主性を重んじるという姿勢を維持する意向が強い。
自工会の組織再編は変化をもたらすか?
そうした中、自動車メーカーの業界団体である日本自動車工業会は、同会の創設以来、初となる大規模な組織再編を2020年10月1日から始めると発表した。
11ある委員会を刷新し、総合政策、サプライチェーン、環境技術・政策、安全技術・政策、次世代モビリティの5つを新設し、それぞれが理事会と直結して議論を行うという。新体制のもと、ぜひとも日本版ZEV規制の在り方について議論を深めてほしい。
さらに言えば、アメリカのZEV規制も中国のNEV規制も、基本的にはガソリン車・ディーゼル車を電動車へ置き換える、大量生産型のビジネスモデルの継承にすぎない。
そもそも、社会に対する環境負荷を根本的に軽減するのであれば、EVであれ燃料電池車であれ、社会におけるクルマの数の最適化を重要視する道もある。そうした台数を追わない事業形態でも、コネクティビティによるビッグデータ活用によって、行政サービスおよび民間サービスを主体とした自動車産業の新たなる姿を考えることは十分可能であるはずだ。
日本の政府、そして日本自動車工業会では、菅政権が強く推進するデジタル化政策を契機に、新しい観点で日本が世界の自動車産業をリードしうる自動車産業政策を、早急に協議してほしいと思う。
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