トヨタが「電気自動車」に消極的にみえるワケ EV普及率を2050年で1割と低く見積もる理由
「日本でブランニューの新車導入は10年ぶり。このクルマで、電動化と自動運転技術をリードする」
日産自動車の星野朝子副社長は6月24日、オンラインで開催したコンパクトSUV新型「キックス」の記者発表で、日産の再起にかける思いを示した。同モデルは「ノート」や「セレナ」と同じく、“1.2リッターガソリンエンジンを発電機として使うEV”という触れ込みのe-Powerを搭載する。またアメリカ時間の同日、北米市場の統括会社である北米日産は、7月に発表する新型EV「アリア」のティザー画像を公開した。正式発表は7月15日に横浜の日産グローバル本社で行う。
日産は5月末、自社の決算発表および4カ年中期経営計画と、ルノー・日産・三菱アライアンスにおける新戦略の発表の中で、電動化と自動運転技術の社会実装について、日産が日本市場を最優先して進めると明言している。
一方、トヨタのEVに関する動きは最近、あまり目立たない。
ニュースリリースのバックナンバーで振り返ると、今年(2020年)では、4月2日に中国地場のBYDとEV研究開発合弁会社を設立するという発表のみ。量産型EVついては、2019年11月22日にレクサス初のEV「UX300e」を中国広州モーターショー公開というニュースがあるだけ。日本市場向けでは、2019年10月17日に、1回の充電で約100㎞走行可能な2人乗り超小型EVを「2020年冬を目途に導入する」と発表するにとどまる。
「アリア」のような、本格的EVの日本導入については、噂レベルも含めて今のところトヨタ周辺から話が聞こえてこない。なぜだろうか。
Wait & See=じっくり構える
現在のトヨタと日産のEVへの対応は、 2000年代後半と似ている印象がある。日産が「リーフ」の量産に向けて、EV関連で積極的に投資する姿をトヨタは俯瞰していた。
こうした状況について、トヨタのアメリカ法人幹部は筆者との意見交換した際、トヨタ戦略のモットーを「Wait & See(じっくり構える)」と表現した。
ここでいう「Wait (待つ)」とは、何もしないで待つのではなく、中長期の経営戦略と、それに伴う基礎技術の研究開発を着々と進めながら、「See(状況観察)」して「時を待つ」という意味だ。そして「時」とは、量産車市場からの需要が明確になることを指す。
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