セールスフォースが人間臭く顧客に接する理由 関係者が語る「トレイルブレイザー」の人類愛

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「カスタマーサクセス」と呼んでいる顧客の成功体験は、大きい成果を生み出すことですから、私の仕事は、このアプリケーションを何にアプライするのかを外さない、そこが重要でした。

カスタマーサクセスは全工程で実現できる

赤川:実は、私はセールスフォースのある製品を導入するかどうか、その商談を担当したことがあるのです。最終的にお断りして、別の会社の製品に決めたのですが、その際、セールスフォースの役員の方からなぜダメだったのかを聞かせてほしいとご連絡があり、インタビューを受けました。

たくさん顧客がいるなかで、現場の声にこだわり、失注要因を知るためにここまでやるのかと、グッときました。

成田:セールスが受注したら、「はい、カスタマーサクセスさん、あとはよろしく」と丸投げせず、まず一緒にどんなモデルでお客様の成功に向けて支援していくかをプロジェクトとしてやるという文化もあります。

成田麗子(なりた れいこ)/Faber Companyレベニューマネジャー。日本IBMソリューション・サービス、NECネッツエスアイを経て、2011年セールスフォース・ドットコムに入社。インサイドセールス、セールスディベロップメントなどを経て、広域営業部部長として若手育成と地方創生に奮闘。 2020年6月より現職(写真:本人提供)

小西:カスタマーサクセスは必ずしも後工程ではなく、全工程で体現するものだと思います。インサイドセールスは、まず営業機能としてのドアオープンの役割を果たすわけです。

その過程で、すばらしい技術やトレンド、お客様にフィットする業界の動向など、通常なら有償のセミナーでしか得られない情報を提供するのです。その時点でお客様の成功に貢献しているんですよね。

セールスとして後工程で大事にしていたのは、インプリ(実装)のプロジェクトです。セールスフォースは、買ってすぐに成果が出るものではありません。購入された段階では中は空っぽで、まずはデータをためる必要があります。

正しいデータやご覧になりたい切口で分析するためには、カスタマイズも必要ですから、最初に求めていた形に近づけるための準備期間が必須なんですね。ですから、ここをしっかり成功させるのがまずもって肝心なことでした。

■セールスフォースの男女平等

赤川:本書には、働き方、平等についても語られています。女性の平均給与が正当に評価されているかどうかをセールスフォースの社内すべてで調査して、それを是正するために1年で300万ドル以上をかけたともありました。成田さんは、女性としてどのように感じられていましたか。

成田:私のいたセールス部門では、男女の不平等は一度も感じたことがありませんでした。ですから本書を読んで、こんなこともあったのかと驚きましたが、平等という点で見ますと、成果に伴って正しく評価され、賃金も決まるという仕組みがありました。

性別に関係なく、評価が報酬や昇進の機会につながっていく、だから、実績を出せば形となって帰ってくるんだと日々感じながら働くことができていました。

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