セールスフォースが人間臭く顧客に接する理由 関係者が語る「トレイルブレイザー」の人類愛

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赤川:8年間勤務された中で、組織の男女比率は変わりましたか?

成田:大きく変わりました。私が入社した頃、セールス部門の女性比率は1~2割でしたが、退社する頃には50%が女性でした。

多くの企業にあることですが、男女平等にチャンスはあるものの、必ずしもそれがプラスになる女性ばかりではないのです。ライフイベントにぶつかったとき、ハードな勤務を続けられるのか。

キャリアビジョンの実現とプライベートの充実を両立させられる会社は、日本にはまだまだ少ないですよね。育休やリモートワークなども、制度は準備されていても、文化的に活用されない会社も多いのが現状です。その点、セールスフォースは困ったら何でも相談してねというオープンな空気が作られていました。非常に希有な存在だと思います。

優れた企業文化の根源

赤川:セールスフォースの企業文化を規定している、その根本とは何でしょうか。

赤川朗(あかがわ あきら)/grooves Forkwell事業部長。2011年groovesに入社し、セールスからキャリアをスタート。2015年よりForkwell事業部に異動し、マーケティング部門の立ち上げ、エンジニアチームのマネジャー、プロダクトマネジャーを経て、2017年より現職(写真:本人提供)

小西:ビジネスモデルに起因していると思います。お客様の成功と企業の成功が不可分な存在である、それがサブスクリプションビジネスの原点です。契約更新率が90%なら、10%のお客様はいなくなり、10年で消えてしまいます。

まずお客様が成功しなければ、企業は成功しません。これをビジネスモデルで表現しているので、逃げられない。だからこそ、キレイごとではない創意工夫が生まれるのでしょう。

成田:私は、お客様の成功に向けて真摯に向き合うスタンスを学んできました。本書でも、お客様の隠れた課題に対して自社のサービスでどう貢献できるのか、それをディスカッションして見極め、できるとなればコミットしていく過程が書かれています。今の会社でも、そこをしっかり生かしたいと考えています。

小西:私自身はセールスフォースで、持続的で強固なビジネスを作り上げるという王道を学びましたので、フルに生かして今後の成長に結び付けたいですね。セールスフォースは教育や学びにものすごく投資している会社です。弊社も地域貢献しつつ、豊かな学びの地盤づくりのお役に立ちたいと考えています。

田中:セールスフォースは、最初から社会課題の貢献にこだわり続けていて、ベニオフさん個人としても、組織としても発信し続けています。なぜそんなことをするのかと思っていましたが、パブリック・クラウドという巨大な船である以上、この船がどこへ向かっているのかを経営者たる船長がビジョンで指し示す必要があるわけです。

僕とは規模感が全然違いますが、事業にかかわるものとして尊敬します。刺激を受けますし、目線を上げてくれる存在だと思っています。

泉美 木蘭 作家・ライター

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いずみ もくれん / Mokuren Izumi

1977年三重県生まれ。24歳でイベント企画会社を起業し、即刻倒産。借金返済のために働く日々をつづったWebサイトが話題を呼び、作家デビュー。以降、週刊誌やWeb媒体等で執筆。TOKYO MX「モーニングクロス」「激論!サンデーCROSS」などテレビ番組でレギュラーコメンテーターとして出演。著書に『オンナ部』(バジリコ)、『エム女の手帖』(幻冬舎)、『会社ごっこ』(太田出版)等。趣味は合気道とラテンDJ。

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