メタボが健康寿命を縮めないという新説の真相 長生きするほど「フレイル」が危なくなる

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改めて調べると、人生においてあとどれくらい健康な状態で過ごせるかを示す「健康余命」とメタボの関係について明確に示した文献や研究は、実は今まで存在していませんでした。

では、何が高齢者の健康長寿を脅かす最大要因かというと、今、世界の老年医学界で注目を集めている「フレイル」です。

「衰えるとは何か」が科学的に解明されつつある

フレイルとは、端的に記すと「要介護になる危険性が高い身体や脳の衰え」。心臓病やガンなどの疾患ではありませんが、人間歳をとれば必ず衰えます。つまり、誰もが避けて通ることができないのがフレイルです。

なぜ誰も避けられない、自然現象ともいうべき「老化」に改めて名前がつき、注目されているのでしょう? それには、3つの理由があります。

1つは、歳をとると当然だと思われていた心身の衰えは、経年だけでなく病気や生活習慣によって加速し、また衰えそのものがさらなる疾病につながる実態が解明されたから。

2つ目は、これまで主観的にしか捉えられなかった「体の弱り」が、「フレイル」という客観的な指標で評価できるようになり、フレイルか否か、つまり自分の体がどれくらい衰えているかがわかるようになったから。

そして第3に、これが最も重要で、すでにフレイルであっても有効な対策を講じれば、年相応の健常レベルに戻れる「可逆性」が認められたから。「体は時とともに衰えるもの」と諦める必要はないのです。

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