取引先に提案が通らない人がわかってない急所 多様に演じ多角的視点から自己と社会を語ろう
特徴がそれほどなかったとしても、角度を変えて、アピールすることは別の魅力を打ち出せることにもつながるはずです。「時短を実現するサービス」であれば、「残業がなくなる」のほか、経営でいえば「残業代を減らせる」メリット、家族からの視点でいえば「子どもと一緒にお風呂に入れる」メリットが浮かび上がります。
地球規模でいえば「エアコンの稼働時間を減らせて、CO2削減を実現できます」とさえ訴えることもできます。
複数のメリットをアピールすると、相手は、製品やサービスのよさに気づいてくれます。だから、いろいろな角度から攻めていくことが大切なのです。
取引先に企画を提案して通したい場面では、どうしても「御社のため」というキーワードを使うビジネスパーソンは少なくないでしょう。確かに「このサービスで残業が2時間減ります」「ほかにはない機能ですので、売り上げが確実に上がります」といった言葉は、相手に直接刺さる言葉です。
しかし、それだけが求められてもいません。昨今のビジネスは、単に製品を作ったり、サービスを提供したりすること以上の意味が求められています。その製品やサービスによって、どのように社会に貢献できるかが問われるような社会情勢になっているからです。
社会的意義の提案は、相手を前向きにさせる
とくに、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、2019年の令和元年東日本台風、そして2020年の新型コロナウイルス騒動などを通じて、企業側が「儲け」だけを目的にすれば、社会から糾弾されることを肌で知っています。
つまり、「御社のために」の先にある「この製品を導入することで、どのように社会に貢献できるか」を伝えることが大切になってきているのです。例えば、残業が2時間減るとしたら「どれだけのCO2を削減できるか」「親と子がどのくらいの時間一緒にいられるか」といったことまでアピールする必要があります。
ポイントの1つは、取引先の「創業理念」。多くの会社では、自社のホームページに掲載しています。その理念に沿った社会的意義をアピールするのです。
社会的意義をアピールすると、聞いた側が「それは違う」と真っ向から否定することは難しいででしょう。「儲かればそれでいい」などとは、口が裂けても言えないと思います。これが通す場面において、大きな威力を発揮します。
「会社」という言葉をひっくり返して「社会」にする。単に「自社の商品やサービス」という狭い視点で売り込むのではなく、「自社の商品やサービスを通して社会に貢献できる」という広い視点での社会的意義のある提案。自分さえよければそれでいいという「利己」的な考えではなく、世のため人のためになるという「利他」の精神こそが、相手の前向きな検討・支持につながるはずです。
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