羽田から昼間帯の米国便が飛ばない事情 10月就航のユナイテッドも深夜便

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これは珍しい権益で、デルタと2008年に合併した旧ノースウエスト航空の歴史につながる話だ。旧ノースウエストが戦後、まだ日本に航空会社がなかった時代に、羽田を拠点として国際線を飛ばしていたことがそのルーツ。デルタほどではないが、ユナイテッドも同じ理由で、日本で以遠権を持っている。デルタもユナイテッドも、成田を中継地(ハブ)として、アジアと米国を行き来する需要を押さえている。

日本政府は1978年に開港した当時、成田を国際線の拠点にしていくと決めた。旧ノースウエストはそれに沿って、経営資源を羽田から成田に移した経緯がある。

羽田から先につながらない

4月に来日したオバマ大統領も昼間帯の羽田を利用した

羽田の国際化が進むことは、デルタにとって面白い話ではない。羽田から米国への昼間便が飛べば、一定の客が成田から流れ、成田のネットワークに少なからず影響が出るからだ。

また、ユナイテッドは全日本空輸(ANA)が加盟するスターアライアンス、アメリカンは日本航空(JAL)が入るワンワールドという国際アライアンスを組んでおり、運航やマイレージなどで連携できる。だが、デルタが属するスカイチームには、日本の航空会社が入っていない。発着枠の制限があり、羽田で以遠権を使えないデルタにとっては、今の9枠を前提に発着枠の配分が決まると、米国から羽田の先に自社ネットワークをつなげられない。

首都圏の空港を利用して日本と米国を往来する渡航者の大半にとって、昼間帯の羽田─米国線の就航は望ましいだろう。4月下旬、日米首脳会談で米国のオバマ大統領が政府専用機「エアフォースワン」で利用したのは、成田ではなく羽田だった。発着はいずれも昼間帯の時間。米国政府も昼間発着の羽田の利便性を認めていることを象徴する出来事だった。それでも、関係者の思惑が複雑に絡み合う中、足かけ4年をかけても日米航空交渉の出口はなかなか見えてこない。

(撮影:尾形文繁 「週刊東洋経済」2014年5月3-10日号<4月28日発売>の特集「最強のエアライン」掲載記事に加筆)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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