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「説得力ある話ができる人」と「できない人」の差 自分が言いたいことだけ主張しても伝わらない

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  • 岡 重文 グロービス経営大学院教授
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その薬に効果があったということを言うためには、薬を服用したけど効果がなかった人がどれだけいたのかがわからないとその薬の有用性がわかりません。

服用して効果があったという人が5人、服用したけれども効果がなかったという人が1人の場合と、服用して効果があったという人が5人、服用したけれども効果がなかったという人が5人の場合では、薬の有用性に対する判断が変わるということです。

前者であれば、薬は効果がありそうと解釈できそうですが、後者は、それほど効くわけではなさそうという印象になります。逆説的ですが、薬を服用したけれども効かなかった人を積極的に探すことが、薬が効いたかどうかの判断の精度を高めてくれます。

言いたいことの「逆」の情報が根拠を強める

そして、もう1つ重要なことが、薬を服用しなかった人がどうだったかということです。前述のところで満足して、考えを止めてしまう人が多いのですが、薬が有用だったということを言うためには、薬を服用しなかった人たちがどうだったかを比較しておかなければなりません。

【ケースA】
薬を服用し、回復した人       5人 
薬を服用し、回復しなかった人    1人
薬を服用しないで、回復した人    1人 
薬を服用しないで、回復しなかった人 5人

【ケースB】
薬を服用し、回復した人       5人 
薬を服用し、回復しなかった人    1人
薬を服用しないで、回復した人    4人 
薬を服用しないで、回復しなかった人 2人

【ケースA】は、薬を服用しないで回復した人は1人しかいないため、「薬が効いて回復したのでは」と考えることができます。

一方、【ケースB】の場合は、薬を服用しないで回復した人が4人いるので、「回復したのは、必ずしも薬が効いたわけではないかもしれない」ということがわかります。

このように、薬が有用かどうかは、薬を使わなかった人がどのような状況であったかと比較してはじめてわかることになります。

薬を服用して、回復した人だけを調べるのではなく、薬を服用して、回復しなかった人を確認する。さらには、薬を服用しなかった人がどのような状況であったかを確認する。

自分の言いたいことの逆を積極的に確認することが、結果的に自分の言いたいことの根拠を強めることにつながります。ぜひ、心掛けてみてください。

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