セールスフォースが驚くほど信頼を重視する訳 「自分たちさえよければよい」という発想はない

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セールスフォースのバリューに、「信頼」「カスタマーサービス」「イノベーション」のみならず「平等」もが加えられていることからもそれはわかる。また同社は、企業規模がどれだけ大きくなろうとも、製品の1%、株式の1%、就業時間の1%を慈善目的に使う「1-1-1モデル」を実施したりもしている。

そうした地道な蓄積が、結果としてセールスフォースを成長させたということだ。そして、その延長線上に誕生したのが、本書のタイトルにもなっている「トレイルブレイザー」である。

「トレイルブレイザー」とは?

同社は2016年に、最先端のセールスフォース実践者向けの企画を開催した。参加者に自社のソフトウェアを習得してもらい、それぞれの企業に戻って内部でソフトウェアを実装できるようにするというものだ。

当然ながら参加者たちは、セールスフォースのために働くわけではない。だが、彼らはチームの大事なメンバーであり、偉大なイノベーター、エバンジェリスト(伝道者)を兼ねているとベニオフは評している。

製品や文化に影響を及ぼす重要な存在であると彼らを位置づけているわけで、「そういう人たちのことをどう呼べばいいのかな」という議論になったとき、スタッフの中から出た呼び名が「トレイルブレイザー(開拓者)」だった。

この言葉を聞いても最初はピンとこなかったというベニオフを納得させたのは、発案者であるスタッフから届いたメールだった。

それは、いまだに忘れられないメールだ。そこには、リーダーがチームや組織に期待して活用すべきマインドセットについて、私がこれまで読んだ中で最も素晴らしい内容が書かれていた。
「実践者たちは世界をより良くするために学びたいと思っています。恐れずに探求し、イノベーションを切望し、楽しみながら問題を解決して社会貢献もします。文化と多様性を大事にする人々であり、彼らはトレイルブレイザーなのです」私は納得した。(49ページより)

さらに重要なポイントは、ベニオフが「トレイルブレイザー、開拓者のマインドセットは、テクノロジーやソフトウェアに限定されるものではない」と記している点だ。

すなわちトレイルブレイザーとは、アイデアや信念を持ち、それを発言することを恐れず、差別され脅かされている人を見たら警鐘を鳴らすことのできる、広い視野の持ち主であるということなのである。

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