そして何より、麻雀で生きていきたいという気持ちが湧いてきていた。高校時代からずっと好きだった、麻雀で食べて行けないか?と考えた。
「どうせサラリーマンを辞めるなら、好きなことをして生きていきたいと思いました。ただこの段階では夢は『プロ雀士で稼ぐ』ではなく『麻雀で食べていきたい』とやや控えめな希望でした」
会社を辞めた22歳の年は、神戸市内でフリーターとして生活していた。
日雇い労働をしたり、工場やイベントの設営などをしてなんとか生計を立てていた。
アルバイトをしながらも、プロの対局を見たり、麻雀の本を読みあさったりと、麻雀の勉強は欠かさなかった。
麻雀のプロ試験は、年に2回行われていた。金さんの腕を知った、日本プロ麻雀協会からは誘われていたが、まだ踏ん切りがつかず7月の試験はパスした。
そして半年後の1月に試験を受けて無事合格した。
「プロ試験は、履歴書を送り、面接を受け、実際に麻雀を打って作法や打ち方を審査されます。就職試験と似ていますよ。麻雀が好きでちゃんと勉強していたら、プロ資格を取るのはそれほど難しくはないと思います。
ただ、プロ資格を取ってもそれで食わせてもらえるわけではないです。年会費やエントリーフィーを払わなければならない分、より大変になります」
麻雀プロの厳しい生活
麻雀プロになっても、生計はそれぞれが立てていかなければならない。そこが麻雀プロのいちばん厳しいところだ。
「現在2000人のプロ資格者がいますが、メディアへの出演料や、本の出版などで稼げる人はほんの一握りです。ほとんどの人は二足のわらじを履いていますね。半分くらいの人は、普通にサラリーマンをしながらプロを続けていると思います」
金さんも、二足のわらじを履きながらプロ活動をしてきた。現在も大手の健康麻雀店(賭け事NGの雀荘)で働いている。
プロとして活躍するには、とにかくリーグ戦を勝ち上がっていかなければならない。
金さんは、記録的なスピードで昇級し、26歳のときには、20代ではまず入ることができない最上位のリーグ戦に入ることができた。
その最上位のリーグ戦で1年間戦い抜き、上位3位に入ると、前年度のチャンピオンを含めた4人でその年のチャンピオン『雀王』を決める。
4人で丸4日打つ熾烈な戦いだ。金さんは、20代で3度も雀王戦に出場した。
「20代のときには1度も勝てなかったですね。運ではなく、あと一歩実力が足りていなかったと思います」
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