37歳「麻雀プロ」最強に上り詰めた男の快活人生 サラリーマンを辞め、好きを究める道を選んだ

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ちょうど働いていた麻雀店でも出世して、そちらの仕事もかなり忙しくなっていた。

そもそもの夢が「麻雀で食べていきたい」だから、麻雀店で働くのは苦痛にならなかった。ただ、プロ対局のことだけを考えると、もっと勉強をしなければならないな、と思う。そこにジレンマが発生する。

「同じリーグに出ているほかの選手の試合は絶対に見なければいけません。ライバルの研究だけで、結構な時間を使います。

仲間同士で研究会も開きます。4人の仲間で打って、打ち方が正しかったかどうか吟味します。そうやって勉強すればするほど、強くなっていくのがわかります。

ただ、勉強自体はお金が発生するわけではありません。生活するには仕事をしなければいけませんから、勉強と仕事のバランスが難しいんですね」

20代半ば頃に、CSで放映されている麻雀番組に出演する機会があった。金さんが昔から視聴していた番組だった。

夢の舞台にプロになって4~5年で出られたのは純粋にうれしかった。

「でも全然ダメでした。ガッチガチに緊張してしまって、悲惨な結果になりました」

せっかく出演できたのに、自分を出せずに終わるなんて!!とひどく後悔した。こんなことが二度とあってはいけないと思い、カメラの前に出る仕事はなんでも受けることに決めた。それからはノーギャラのインターネット配信の番組にも出演するようにした。

「番組にどんどん出演していると、すぐにカメラ慣れしました。今では『みんな見てくれ!!』って感じです(笑)。カメラの前で打つのが、いちばん楽しいですね。

テレビ中継に出ている若い雀士を見ると手が震えていたりします。そんな彼らを見ると、

『最初はそうだよな。頑張れ』

って応援します。

今はコメントの文化ですから、視聴者からひどい悪口が書き込まれることもあります。私は幸いメンタルが強かったのでそこまで傷つかなかったですが、陰で泣いている人もいます。かわいそうだと思いますが、そういう悪罵にも耐えるのもプロの仕事なんだと思います」

大会に出て優勝すれば賞金を手にすることができるが、最高金額も300万円くらいであり、賞金だけで食べていける額ではない。

「賞金だけで年間600万円稼いだ年がありましたが、それっきりですね。賞金だけで、生計を立てるのは難しいと思います。プロ麻雀士は2000人いて、その全員で賞金を取りにいくのだから、なかなか手に入れるのは難しいです」

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