勝負師が語る「流れに乗れる・乗れない人」の差 桜井章一「流れを止めると運は逃げていく」

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雀士・桜井氏は、一流は「流れ」を察知し、それにうまく乗ると言います。目には見えない「流れ」をどのようにとらえ、コントロールするのでしょうか(写真:Creativaimage/iStock)
一流と二流の差は「流れ」が読めるかどうか。長年、勝負の世界で戦ってきた雀士・桜井章一氏はそう語ります。二流は流れに逆らって自滅し、一流は流れを察知し、それにうまく乗る。目には見えない「流れ」をどのようにとらえ、コントロールするのか? 桜井氏の新刊『「実戦」で身につけた本物の教養』をもとにひもときます。

流れを止めると運は逃げていく

私は大きな仕事があると、数日前から食事をしない。というよりも食欲がなくなる。そして意識を極限まで勝負のモードに高めていく。人間、食事を抜き、体からさまざまなきょう雑物を除くと、感覚が鋭く研ぎ澄まされる。少なくとも私はそうだった。

そんな極限状態で勝負するのだから、若いときには鬼のような形相で麻雀を打っていたと思う。そんな私の姿を見て、いつとも誰とも知れず、「雀鬼」というあだ名が付けられた。

確かに、私は勝つために「鬼」になっていたと思う。勝負の世界では心が揺れたほうが負ける。私は相手の心が揺れる瞬間を見逃さない。その瞬間を突いてやる。すると相手は意識して、いろいろ考える。そうなるともう思うツボだ。こっちが何をしなくても相手が勝手に自滅していく。

勝負のあやとか女神というのは一度そっぽを向かれたら、なかなか振り向いてくれないものだ。実際、麻雀には明らかに「流れ」がある。そのことはちょっと麻雀をやった人なら誰でも知っていることだろう。

麻雀は流れのゲームであり、リズムが大事。だからよく、長考で「ああでもない、こうでもない」と1人悩んでいる人がいるね。そういうのは流れを止めるから、その場にもよくないし、その人自身にも流れやツキは入ってこない。

あとはテンパったら基本的にリーチをかける。ダマで張って相手の捨て牌に当たろうなんて考え方はしない。堂々とリーチを宣言したうえで、自力でツモり上がりを目指すのだ。

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