ルネサス、黒字浮上だが「人員余剰感25%」 生産終了品の駆け込み需要が業績押し上げ

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2014年3月期が増収に転じた背景には、主力の自動車用マイコンが2013年3月期比15%増となり、つれて自動車用のパワーデバイスやアナログ半導体も同20%増と絶好調だったことがある。カーナビ用の半導体は同50%増まで伸びた。足元も堅調であり、さらには企業の設備投資の増加を受けて工作機械などに搭載される産業用マイコンにも追い風が吹いている。

ルネサスは通期業績予想を開示せず、四半期ごとの業績予想を開示している。それによると、2015年3月期第1四半期(14年4~6月)は、売上高が前年同期比0.7%増の2020億円、営業益は同17.9%増の200億円。断続的に実施してきた大規模リストラの効果で開発費や人件費が数百億円規模で減ったこともあり、ようやく営業黒字が定着しつつある。

「作りだめ効果」が徐々に剥落

ただし、この勢いのまま復調が続くと考えるのは時期尚早かもしれない。「前期と今期は製品の作りだめで数十億円の損益影響があった。来期に向けてなだらかに減衰する」(柴田英利常務兼CFO)。ルネサスは1~2年内の工場集約に伴い、半導体製品の絞り込みを行っている。不採算品の生産終了を決めており、顧客にヒアリングした上で在庫の作りだめを進めている最中だ。今期も生産終了品の駆け込み需要が寄与することで、業績をカサ上げする構造となっている。

「構造改革は4合目まできた。今期は設計・開発機能を統合することで6~7合目まで引き上げたい」(作田会長)。一段のリストラについては言及しなかったが、「まだ人員の余剰感は25%くらいある」と会見後に作田会長は漏らした。営業利益率2ケタの必達に向けて、ルネサスの構造改革は、まだ終わりそうにない。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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