"PCの負け組"あのAMDが苦境を脱却?

グローバル事業統括リサ・スー副社長が語る新戦略

リサ・スー副社長は「やるべき改革を終えるには、あと数年かかる」
半導体業界が激変している。2013年のスマートフォンとタブレット端末の半導体市場規模は、ついにPC向けを追い抜いた。半導体の巨人、米インテルも2期連続で減収減益に沈むなど苦戦を強いられている。インテル同様に構造変化に苦しめられたのが、1969年設立の老舗半導体メーカー・米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)。PC用半導体が主力で、インテルの後塵を拝してきた2番手メーカーだ。09年に生産部門を切り離すなどの大胆な構造改革を行ってきたが、PC市場縮小のあおりを大きく受けて業績が低迷。2013年度の売上高は前期比2.3%減の53億ドルとなり、2期連続で減収となっている。
しかし昨年から、新たな存在感を放ち始めている。家庭用ゲーム機の米マイクロソフトの「Xbox One」とソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「PlayStation4(PS4)」で、AMD製品がメイン半導体に採用されたのだ。2013年末に2か月間で700万個のゲーム用のセミカスタム半導体を出荷するなど、業績回復の牽引役となりつつある。
AMDでは2011年にロリー・リード氏がCEOに就任し、新体制の下で“脱・PC依存”が進む。2012年1月からグローバル事業を統括するリサ・スー副社長は、AMDの改革をどう進めているのか戦略を聞いた。

 

――スマートフォンの普及により、PC業界は大きく変わりました。

過去5年間を振り返ると、半導体業界は大規模な変革を遂げている。AMDの12年度売上高はPC用半導体が9割を占めており、事業の多様化が経営課題だった。当社は基本的な技術として、プロセッサとグラフィックスの領域で強みを持っている。これを生かせば、まだまだ成長のチャンスはある。

従来のPC関連ビジネスの強みは維持しつつ、新しい市場としてゲーム機やサーバー、組み込み用半導体の新規開拓を進めていく。13年度はPC以外の売上高を30%に引き上げ、15年までにPC分野とそれ以外を50対50にすることが目標だ。11年8月にはロリー・リードがCEOに就任して進化を遂げてきたが、やるべき改革を終えるためにはあと数年間かかる。

――今後のPC市場をどう見るか。

これから数年間、PC市場は縮小するだろう。特にノートPCはタブレットとの競争関係で減少が進むが、デスクトップや業務用PCは比較的安定すると見ている。長期的な成長を考えるとPC分野にも投資は継続するが、最適なバランスがとれたポートフォリオが重要となる。グラフィックス分野に加え、サーバーや組み込み分野ではカスタム半導体が大きな成長領域になると考えているので、その分野の投資をさらに強化していく。

モバイルに今後の成長チャンス

――PC以外の分野での戦略は?

モバイル市場は大変重要で、今後も成長のチャンスがある。競争の激しいスマートフォン関連の投資は考えていないが、タブレットやコンバーチブルデバイス(画面とキーボードが2つに分かれたPCなど)といったモバイル製品にはチャンスがある。

AMDのコンセプトは「妥協なきタブレット」で、ハイエンド製品では私たちの技術を有効活用できると考えている。現行のタブレットは、ほとんどがインターネットのブラウジングに使われていて、生産性の高い作業になるとノートPCに戻ってしまう。しかし3~4年後はタブレットやコンバーチブルデバイスの可能性が拡大し、より生産性の高い経験ができるようになる。音声認識やジェスチャー認識、顔の表情認識といった新しいユーザーエクスペリエンス(顧客体験価値)も出てくるだろう。

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