ベトナムはほかの国と比べて価格優位性が高い。同社代表取締役社長の高橋良太氏によれば、日本でデータ入力を行う人材を採用する場合、1人当たり月に約18万円。それに加えて福利厚生費などがかかる。中国では11万~13万円。それがベトナムでは、3万~4万円で済むという。大幅なコスト削減と作業効率化が期待できるだろう。
気になる日本語入力の精度について高橋良太氏は、「ベトナムは親日国で、日本語検定資格を持っている人が多い。上級資格取得者の中には日本人よりも日本語に詳しい人がいることも。最終的には日本人従業員による品質確認も行っているため、顧客企業からも満足いただけている」と話す。
同社は今後も日本語に堪能なベトナム人を安定的に採用するために、ベトナム国内の6大学と提携し、日本語学科の卒業生を受け入れる態勢を整えているという。また、大学で日本語を学んだ文系学生の就職先は、現状、ホテルやレストランなどに限られるため、日本語のスキルをそのまま生かせるBPOの職場は、学生にとっても魅力的なのだそうだ。
優秀な日本語人材を定着させる職場作りが肝
高橋氏は、今後、日系の顧客企業からの委託案件が増加することを見据えて、ベトナム拠点の拡大を図ろうとしている。現在の80人態勢から、近い将来には今の2~3倍の規模にしたいそうだ。
規模拡大を実現させるための肝となるのが、優秀な従業員の定着。いわゆるリテンションだ。アジアでは一般的に短い期間で転職を繰り返すジョブホッピングが盛んで、従業員を定着させることが日本よりも難しいと言われている。そのために同社ではいくつかの取り組みを行っている。
たとえば、同社には女性の従業員が多いのだが、ベトナムで年に2回ある「女性の日」(3月8日の国際婦人デーと10月20日の同国初の婦人組合が設立された日)には、会社から女性従業員に花束がプレゼントされる。また、日本人女性従業員による日本風メイク教室なども開かれるという。
こうしたユニークな施策だけでなく、制度面でも従業員を支援している。たとえば、男女間で給与差が生まれないようチームのリーダーに積極的に女性を抜擢する。また、取得している日本語検定の級数に応じて給与水準を変え、従業員の日本語学習へのモチベーションを高めているという。
日本語のスキルレベルと安価な人件費。そのバランスが日系企業のBPOにおいては重要である。そのことを踏まえると、ベトナムはアジアの周辺国と比較して有望ではないだろうか。サウザンドクレインのオフィスには、多くの日系企業の担当者が現地視察に訪れているという。
サウザンドクレイン:http://www.thousand-crane.co.jp/index.php
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