「すぐ辞める」アジア人を確保する方法

「働く」ことへの意識の違いにどう対処する?

 高度経済成長を背景に人材は売り手市場で、優秀な人材がすぐに会社を辞めてしまう。アジアに進出する企業の経営者にとって、従業員のリテンション(維持、確保)は共通の悩みだ。
 そんな折、アジアならではの経営課題に目をつけた新会社が、この10月に設立された。人材パソナ子会社のベネフィット・ワンと伊藤忠商事のジョイントベンチャー「ベネフィット・ワン アジア」だ。同社は、企業の福利厚生を「ポイント化」した、いわば「社内マイレージ制度」でアジアの人材難に立ち向かうという。
 ベネフィット・ワン代表取締役社長の白石徳生氏と伊藤忠商事 住生活・情報カンパニーの松永公人氏に、アジア進出の狙いと市場の背景、今後の計画について詳しく聞いた。ベネフィット・ワン アジアは、日本発、海外で成功するサービス業となれるか――。

 

「“日本で会社を辞める”と言ったらちょっとした大事に聞こえるけど、こちらでは同じ会社に2年もいれば古株扱いで、“気づいたら辞めていた”“半日、1週間で辞めた”なんてことはザラにあります。“朝来たばかりなのにランチ休憩に行ったきり帰ってこない”なんてこともありましたよ(笑)」

これは、本連載で以前取材した(http://toyokeizai.net/articles/-/21587)、ジャパンフード・ホールディングスCEOの高橋研一氏の言葉。しかし、これまで話を伺ってきた東南アジアに進出しているほぼすべての経営者が、同じように人材難を口にする。それも、優秀な人材であればあるほど、すぐに辞めていくのだという。

人材パソナ子会社と伊藤忠がアジアでJV

そんな東南アジアならではの経営課題に目をつけた新会社が、この10月に立ち上がった。企業などの福利厚生支援をメインとするベネフィット・ワンと伊藤忠商事のジョイントベンチャーとなる「ベネフィット・ワン アジア」だ。

左から、伊藤忠商事 住生活・情報カンパニーの松永公人氏、ベネフィット・ワン代表取締役社長の白石徳生氏、営業担当としてシンガポールに赴任する森椙愛子氏

ベネフィット・ワンは、もともと人材大手パソナの社内ベンチャーとしてスタート。企業の従業員が受けられる福利厚生サービスを、同社のプラットフォーム「Benefit Station」(以下、BS)で一元管理し、企業に提供。従業員のサービス利用に伴う仲介手数料を得るビジネスをメインに行ってきた。

日本国内の福利厚生支援市場に参入したのは1996年。福利厚生サービス大手5社のうち1社目に遅れること3年、3番目の参入と後発だったが、98年ごろに盛んに叫ばれた「(資産を)持たざる経営」への転換の波に乗り、さらに大手企業や官公庁の顧客獲得実績を武器に、業界最大手の地位を確立、長年、維持してきた。

今では前出のBSの仕組みを企業の福利厚生だけでなく、個人が割引サービスを受けられるECサイトや、顧客企業がプレミアム顧客を囲い込むためのCRM支援としても横展開。三井住友銀行は一部のロイヤルカスタマーに対するCRM施策としてこれを活用しているという。2013年4月時点でのBS総会員数は647万人、2014年4月にはさらに78万人増の725万人を計画している。

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