そんなベネフィット・ワンのアジア版ともいうべき会社が、各国で続々と設立される。先にも述べたが、10月にはアジア統括会社としてベネフィット・ワン アジア(以下、BOA)がシンガポールに設立。2014年1月にはBOAと中国の元国営通信事業会社である中華電信が共同で「Chungwa Benefit One」を台湾に設立。同年2月にはタイ・バンコク、3月にはインドネシア・ジャカルタに設立される。
福利厚生の「ポイントシステム」でアジアに攻勢
BOAがアジアで取り組む事業は、東南アジアと台湾でやや異なる。東南アジアで主に取り組むのは「インセンティブ事業」だ。これは企業の福利厚生を「ポイント化」したもので、ベネフィット・ワン代表取締役社長の白石徳生氏の言葉を借りるならば、いわば「社内マイレージ制度」である。
企業が評価に応じて従業員にポイントを付与し、従業員は自分が保有するポイントを「インセンティブ・ポイントサービス」(以下、IPS)という顧客企業向けのウェブサイトでサービスや商品と交換する。企業の担当者は、ICの管理システム上でポイントを新規付与したり管理することができるサービスだ。
BOAはこのサイトや管理システムを無償で顧客企業に提供し、精算の代行や商品の仕入れ、発送なども行う。その代わり従業員のポイント利用に伴って発生するポイント交換代を顧客企業に請求するビジネスモデルだ。ちなみにシンガポールではインセンティブポイント事業ではない、ウェブ上でのサービスマッチング事業を先行して行う。国内ではすでに実績があり、2013年4月時点で会員数78万人、2014年4月には126万人への増加を見込んでいる。
企業から従業員へのインセンティブといえば、優秀な成績を収めたり、長年にわたって勤務した従業員に対して、現金や商品券、旅行券、自社製品などを渡すことが多かった。しかし、これに対して「ポイント」を付与するメリットが3つあると、白石氏は言う。
「ポイント」が従業員を引き止めるワケ
ひとつは、ポイントの蓄積性。現金や商品券などはもらったらそれで満足なのに対し、ポイントは長く貯めようという動機づけが行える。自分が欲しいサービスや商品と交換するのに必要なポイントの値が可視化されていれば、もっと獲得できるように、仕事を励もう、その会社に長くいようと従業員を奮起させることができる。いわゆる、ゲーミフィケーションの仕組みだ。
2つめは、ポイントならではの価格設定。仮にインセンティブとして100円分や500円分の商品券をもらったとしたら従業員は白けるだろうが、ポイントならなぜかそうした小さい値でも受け入れられるという。したがって、企業は従業員の小さい成果に対してもポイントを付与することができ、従業員は映画鑑賞チケットなど小さい報酬に交換することで満たされる。
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