われわれはサプライチェーンの上流にいるので原料価格上昇の影響を受ける。物流費についても、海外は顧客が取りに来ることもあるが、国内はわれわれが持ち込んでおり、その物流費が上がっている。そうした費用のフェアな分担をお願いしており、手応えは感じている。
価格問題は経営問題と認識しており、2019年の4月以降にすべての営業部長と面談して交渉状況を共有している。徐々に営業部長の顔つきが真剣になってきた。
――鉄鋼需要の回復が若干想定より上回っている、とのことですが、一時休止している高炉の再稼働の見通しをどう考えていますか?
上期(2020年4~9月)の単体粗鋼生産は約1500万トン、下期(2020年10月~2021年3月)は約1700万トンと想定している(前期は上期2155万トン、下期2030万トン)。国内に15本ある高炉のうち6本を止めているが、下期が1700万トンにとどまるのなら(稼働している)9本の稼働を上げることでギリギリいける。
今は中国が活況で、引き合いも増えている。上期以降も一定レベルの採算でこの状況が続くのか見極めていく。需要が上振れしたら、高炉をもう1本どこかのタイミングで動かさないといけない。
粗鋼生産は1億トンには戻らない
――日本全体の年間粗鋼生産量は近年、約1億トンでした。今年は8000万トン台に減少する見通しですが、この先はどの程度の水準になると想定していますか。
内需と輸出の2つの要素がある。今年度の内需は5000万トンくらいに沈むが、平時は約6000万トンだ。平成の初めには9000万トンあったのでずいぶん減った。
6000万トンの内需のうち、2000万トン建設向け、2000万トンは鉄鋼としては日本の製造業向けに売っているが、
一方、輸出は今後、中国が出てくる。ASEANでは中国勢の高炉の建設が進んでいる。(日本の粗鋼生産量は)2021年度は8000万トンより増えるだろうが、残念ながら国内生産が1億トンに戻ることはないだろう。
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