クボタ社長「農機の大型化は不退転の覚悟」 欧米市場では大型機を投入、インド市場も攻める

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「大型農機は内製化も進めていきたい」と述べた北尾社長(撮影:ヒラオカスタジオ)
2020年1月にクボタの社長に就任した北尾裕一氏。就任早々、新型コロナへの対応を迫られる難しい船出になった。そうした中、今春にクボタ史上最も大きい最大210馬力のトラクター「M8」を畑作向けに投入。欧米の農機市場へ攻勢をかけている。
この市場にはクボタの倍以上の4兆円規模の売り上げを持つ農機業界世界1位のディアアンドカンパニーが圧倒的な強さで君臨する。世界3位のクボタも欧米での販売が主力だが、水田向けの小型農機を得意とするクボタは芝刈りやガーデニングで使われる小型のコンパクトトラクターを販売。650馬力のトラクターすら存在する農業市場ではサイズが小さすぎ、存在感が薄いのが現状だ。
大型機を展開するライバル牙城を崩し、欧米農業市場に浸透できるのか。北尾社長に聞いた。

 

――畑作に使う大型農機の市場に攻勢をかけていますね。

私が入社した当時(1980年前後)は、「ジョンディア(ディアアンドカンパニーの展開する農機ブランド)のしっぽを踏むな」といわれていた。圧倒的大手を怒らせるな、と。

ヨーロッパやアメリカに参入した当時は市場探しに苦労して、後発としてコンパクトトラクターなど隙間の市場を探して入っていった。だが、(現在はクボタの製品の)大型化で彼らのドル箱と競合し始めている。不退転でいくしかない。ここからはガチンコになる。

私自身、長く開発畑で農機の大型化に取り組んできた。入社当時は70馬力くらいのものが一番大きかった。そこから80馬力とか100馬力とか一番上のところの開発を担当してきた。市場も水田ではなくなっていく中でニーズも変わり難しい開発だった。

「やっとここまで来たか」という気持ち

最後に開発者としてタッチしたのは120馬力。事業部長になったときに当時の社長に「もっと大きいものを作れと」言われた。ノウハウもなく、人手も限られる中、コンサル会社にも協力してもらいながら、最大170馬力の「M7」を開発した。そして、今度は(最大210馬力の)「M8」の発売。やっとここまで来たか、という気持ち。

最大210馬力のM8。畑作市場である北海道への投入も準備しているという(写真:クボタ)

今回のM8はカナダのビューラー社からOEM供給を受けるが、大型農機の内製化も進めていきたい。2015年に発売したM7も中身は部品メーカーから買ってきた物も多い。ジョンディアはすべて内製。欧州に新設する開発拠点でこれを進めていく。すでに300馬力帯のエンジンは開発が進んでいる。

――今回、M8で畑作に進出する理由は何ですか。

すでにアメリカのコンパクト市場では40%のシェアを握っている。ガチンコでいろんなブランドがひしめいているなかで市場自体は伸びていてもシェアを伸ばすのは難しい。

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