クボタ社長「農機の大型化は不退転の覚悟」 欧米市場では大型機を投入、インド市場も攻める

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コンパクトな芝刈り機などから参入し、少しずつ大きいトラクターを発売してきた。牧草地などにも徐々に入っていった。残るはアメリカの中西部に広がるコーンなどを作る(大規模な)農業。日本で言えば新潟の水田だ。

後発なのでそこへどう入っていくのか。まずはCNHインダストリアルが展開する農機ブランドの「ニューホランド」を切り崩している。

ニューホランドは牧草地の高馬力帯に強い。まずこの分野で一番を目指す。そうすれば彼らの資金も絶てる。その次にはいよいよ本丸のコーンなどの農業。ここにいくには500馬力の農機も必要になる。いまはどんな形で実現することになるかはわからないが。

――従来のコンパクトトラクターとはまったく違う客層を相手にすることになります。地域的にも差があり販売網の構築も難しいのでは。

大型農機がなかったため、ウィスコンシンやイリノイ、アイオワといった大型農機を使った農業が主の地域の販売網は確かに弱い。(そのため)中西部支店を作って3年くらい前からディーラーの確保に取り組んでいる。

メイントラクターは無理でも(補完的に使う)サードトラクターなどならなんとか入っていける。クボタのアメリカにある販売会社のクボタトラクターコーポレーション(KTC)の社是は「Listen to the dealer」。ディーラーと一緒に栄えていきたい。

インド市場の攻略に不可欠なこと

――畑作市場で規模が大きい地域と言えば、80万台近い規模の市場で台数では世界最大のインドがあります。クボタは攻略に苦戦していますね。

インド市場はまず安さが求められるうえ、農機の使い方も独特だ。現地の人にとってトラクター は非常に高価な買い物で、買ったらとことん使い倒す。農家は農業以外でもトラックのような牽引車としてトラクターを使っている。

インドで販売するクボタ製のトラクター。農業で使わない時期はトラックのような牽引力としても利用される(写真:クボタ)

純粋な農業用トラクターにも需要があると踏んで2008年に参入したが、なかなか受け入れてもらえなかった。そこで、牽引力のある「MU」シリーズを展開したり、(製品ラインナップの拡大に)OEM供給を受けたりするなど、現地のニーズに対応した製品を投入し、少しずつだが台数を伸ばしているところだ。

――2019年に現地メーカーのエスコーツ・リミテッド社(EL社)とトラクターの製造合弁会社を設立し、9月末からインドでの量産が始まります。

これまではタイで生産したトラクターをインドで販売してきたが、それでは利益が取れない。インドでしっかり利益を出すには、設計から部品の調達、製造に至るまで、徹底的にコストを下げる必要がある。

そこで、安価帯ブランドの「Eクボタ」ですでにOEMでの取引関係があるEL社との製造合弁をインドに立ち上げた。現地メーカーのEL社は安く作ることに長けている。合弁会社を通じて安く作る手法を学び、そこに品質を融合させていく。

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