日本もアメリカのようになる
――市況動向もあり、高炉不利、電炉有利となっています。こうした構図は定着するのでしょうか。
電炉有利ではない。むしろこれまでは電炉不利の時代が長かった。
2000年代中頃の中国バブル(中国需要の爆発的な増加)の初期は良かったが、後半は電炉が不利になった。スクラップが高く、高炉の原料(鉄鉱石や原料炭)が安かった。2010年前後にアジアで多くの電炉が立ち上がったが、ほとんど休止に追い込まれた。当社が孤軍奮闘しているくらいだ。
一方、世界に目を向けるとアメリカはすでに(鉄鋼生産における)電炉の比率が70%近い。ニューコア、スチールダイナミクス、ビッグ・リバー・スチールといろんな会社がある。
こうした電炉会社の躍進は鋼板に進出したことだ。電炉といえば棒鋼だったところから、(建築、土木に使う)H形鋼、さらに鋼板を作った。日本もそうならざるをえない。
――しかし、日本は電炉比率が20%台。依然として高炉中心です。
日本も粗鋼の内需が年間8000万トンあれば高炉中心でかまわない。(実際は)内需が縮小していく中で高炉は輸出に頼ったわけだが、外需依存で産業を成り立たせるのは難しい。特に鉄鋼は国の基幹産業であり、新興国が成長しようとするとまず鉄鋼業を育成するからだ。
わざわざブラジルやオーストラリアから鉄鉱石や原料炭を持ってきて、日本で鋼材を作って輸出する必要はない。需要国で作ってもらえばいい、という当たり前のことに(高炉が)気がつかれた。
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