中国の税関当局が3月7日に発表した2020年1~2月合算の中国の輸出額(ドル建て)は、前年同期比17.2%減と2016年以来の大幅な落ち込みとなった。
新型コロナ対策で春節(旧正月)の休暇が例年よりも大幅に延長されたうえに、春節明け後も工場の稼働が回復せず、家電製品や靴、玩具、衣料品といった主力製品の輸出が2割以上も減少したせいだ。
荷動きは徐々に平年並みに戻りつつある
「欧州の調査専門会社によれば、コンテナ船では、貨物の減少に合わせて運航便数を減らす『欠便』が2019年の同時期と比べて拡大している。中国―アメリカ間、中国―欧州間の航路の欠便のうち、新型コロナウイルスを理由にした欠便がそれぞれ4割程度を占める。船を港などに係留したままにしておく『係船』の船腹量も急増し、ヨーロッパやアメリカ発のコンテナの確保が難しくなっている」(日本海事センターの松田琢磨主任研究員)
松田氏は「足元では欠便のペースは落ち着いてきており、徐々に平年並みまで荷動きが戻りつつあるようだ。むしろ今後の輸送は欧米の消費への影響が焦点。ウイルスの蔓延を抑え込めるかがカギを握るが、3月も厳しい状況が続くだろう」と語る。
他方、中国の1~2月の輸入額(ドルベース)は前年同期比4.0%減にとどまった。天然ガス、木材などが大きく減少した一方、鉄鉱石や石炭、原油、大豆などの輸入は増加した。