コロナ禍で株式市場は乱高下し、目先の方向感すら定まらない。果たして上場企業各社は今期、どんな業績で着地するのか――。
上場企業全体の約7割を占める3月期決算企業の2020年3月期の業績が出そろった。ただ、いわゆる秋に向けた第2波のおそれなど、新型コロナウイルスの影響度は不透明とし、3月決算企業の6割近くが2021年3月期の業績予想を「未定」または「非開示」とするという、異常事態だ。
だがそんなときこそ、投資家のバイブル『会社四季報』の存在価値は、むしろ高まっている。6月26日(金)発売の『会社四季報』2020年3集・夏号では、業界担当記者が全上場企業に張り付いて取材した結果、今期および来期の業績予想を独自に見直した。
今期は16%減益だが、来期は36%増益予想へ
四季報予想を集計した結果、上場企業の今期(2020年4月期~2021年3月期、対象3360社)の営業利益は、16.0%減という結果になった。前期の23.7%減に続き、2期連続で2桁減益の見通しだ。
4月7日に発令された緊急事態宣言は、長い自粛期間を経て、5月25日には東京都などを含め全国的に前倒しで解除。6月19日には都道府県をまたぐ移動も解禁になった。無観客ながらプロ野球も開幕するなど、徐々に人々のマインドも上向いている。それらを受けて、企業活動は7月以降、徐々に回復に向かうとの前提を置いている。
実際に3月決算企業では、第1四半期(4~6月期)に大底を打ち、下期に業績回復のシナリオを見込めそうな企業が多い。それでもコロナ禍のみならず、米国での大規模な抗議デモや米中貿易摩擦、北朝鮮の動向など、日本を取り巻く環境に不穏な動きは絶えない。上場企業全体として業績の本格回復と言えるのは、営業利益が36.2%増加となる来期に持ち越しとなりそうだ。
とりわけ、幅広い業種に一挙に悪影響が及んだことが、今回のコロナ禍による影響の特徴である。
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