前期は製造業の減益率が非製造業を上回ったが、今期は逆に製造業の11.6%減益に対して、非製造業の減益率が20.5%と大きくなりそう。ソフトバンクグループの大幅赤字縮小などを理由に、30.7%の増益見込みとなる情報・通信業を除けば、非製造業の落ち込みはさらに深いものとなる。
具体的には、銀行、保険を除く31業種をみると、今期予想が営業増益となるのは、情報・通信業、医薬品、証券業の3業種。黒字転換は石油・石炭製品のみである。一方、空運業が赤字転落となるほか、鉱業、輸送用機器、陸運業、小売業、サービス業など、2桁減益が20業種に上る見通しだ。
ちなみに、業種別に見た今期の営業増益率予想(対前期比)は、情報通信業が30.7%増、医薬品が18.0%増、証券業が7.4%増になった。一方、空運業が赤字化、小売業が27.8%減、サービス業が24.5%減となっている。
デジタル化、EC、衛生意識等がキーワード
なお個別に見ると、コロナを機に伸びる需要を捉えて、健闘する企業も目につく。
デジタル化、5G投資や通信量の増加は、IT大手、システム会社、半導体製造装置などに追い風となるほか、半導体パッケージ、ネット接続サービスなど関連企業の業績を押し上げる。またECの拡大は、保管搬送システムや決済・セキュリティなどネットのインフラ企業にも商機だ。衛生意識の高まりは、トイレタリー需要を拡大させるし、ドラッグストア大手の業績は最高益を更新する勢い。食料品業界では、巣ごもり消費で袋麺が、健康意識の高まりでヨーグルト類などが伸びる見通しである。またゲームも巣ごもり消費の恩恵を受ける業界と言えよう。
業績の実績や予想を市場別でも集計した。IT関連企業の比較的多い新興市場が8.8%の増益予想と健闘している。業績予想の伸び率の高い企業を並べてみると、新興市場やJASDAQに上場する企業が数多く上位にランクインしているのがわかる。
変化の激しい昨今のマーケット。業種別、市場別の調査結果や個々の企業の業績予想については、会社四季報2020年3集・夏号をぜひ参考にしていただきたい。
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