昭和電工、「小が大を飲む」9640億円買収の成否

社運賭け、「御三家」日立化成を公開買い付け

日立化成に対する株式公開買い付けについて、記者会見する昭和電工の森川宏平社長CEO(編集部撮影)

日立グループ「御三家」の一角、日立化成の売却先が昭和電工に決まった。

昭和電工は2020年2月にTOB(株式公開買い付け)を始め、日立化成の全株式を約9640億円で買い取る。日立化成に51.2%を出資する日立製作所は現在、矢継ぎ早に事業ポートフォリオの見直しを進めている最中で、その中でも重要な案件に決着がつくことになる。

社運を賭けた9640億円の買収劇

「100年を超える歴史の中でも重要な転換点。日立化成を仲間として、新しい歴史に踏み出す」

12月18日、東京都内で会見した昭和電工の森川宏平社長は力強く語った。同社の時価総額は4521億円(12月18日時点)。対する日立化成は売上、利益規模こそ昭和電工に劣るもものの、時価総額は8501億円、従業員数約2万3000人と、いずれも昭和電工の2倍近い大所帯だ。

9640億円もの買収費用も巨額だが、いわば「小が大を飲み込む」M&Aによって昭和電工は社運を賭けた大勝負に打って出る。

『週刊東洋経済プラス』で森川宏平社長のロングインタビューを掲載

買収スキームは、買収のために設立する特別目的会社(SPC)がみずほ銀行からノンリコースローンとして4000億円を借り入れ、みずほ銀行と日本政策投資銀行から2750億円の優先株出資も受ける。昭和電工本体もSPCに普通株出資するが、その資金2950億円もみずほ銀行が融資する。

日立化成株の親会社である日立製作所はTOBに応募する契約を昭和電工とすでに結んでおり、TOBが成立するのは確実だ。

昭和電工の業績は現在、絶好調だ。2018年12月期の営業利益は1800億円と過去最高を記録し、2017年12月期に引き続いて2期連続で最高益を更新している。それ以前は年数百億円の利益を稼ぎ出すのがやっとで、2009年12月期にはリーマンショックの影響を受けて営業赤字に沈んだこともある。まして、時価総額で2倍近い日立化成を買収できるほどの体力はなかった。

次ページ昭和電工が「飛躍」したきっかけとは
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 日本と中国「英語教育格差」
  • 検証!ニッポンの労働
  • 岐路に立つ日本の財政
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スペシャルインタビュー<br>元ラグビー日本代表・畠山健介

今年から米メジャーリーグ・ラグビーのチームに所属、華やかな選手生活とは裏腹に幾多の葛藤を乗り越えてきた畠山選手。「ラグビーファンの拡大には、リーグのプロ化が不可欠だ」。新天地にいる今だから見えてきた日本ラグビー改革論を熱く語ります。