日本製鉄、中国メーカーの攻勢で多難な前途

橋本社長が語る日本の鉄鋼産業の生き残り策

――そうした厳しい事業環境で、単体の製鉄事業をどう黒字化しますか。

需要に見合った生産能力への調整に加え、低採算品の依存度を下げ、高級鋼の比率を上げていく。高級鋼のコストを下げるために(分散した生産拠点を)集約して生産する。すでに発表したものも含め構造対策で追求していく。

――中国の内需が飽和して、中国勢の巨大な生産能力が本格的に輸出に回るのはいつ頃とみていますか。

中国については誰もわからない。公共投資と製造業の需要増加がいつまで続くか。公共投資はだいたい終わったという見方と、まだまだ足りないという見方がある。(中国は)公共投資を今減らすことはないだろうが、どこかで一巡する。この状況が3年続くとは思っていない。

製造業についても米中対立を考えれば、かつてのように世界の工場として需要を引っ張ることはない。(輸出が容易な)沿岸部の製鉄所の生産能力が倍増しており、迎え撃つ体制を整えないといけない。

中国の技術力が明らかに向上

――日本企業の得意領域である高級鋼でも、中国メーカーが追い上げてきています。

中国事業は現地のパートナーとやってきた。自動車向け鋼板の加工事業では、中国側からすると材料となる熱延鋼板は自分たちで供給したい。だが、中国では作れないものがある。エンドユーザーが日本製鉄の母材で認証しているため、一定割合は日本から持って行っている。

当然、中国の最有力メーカー(国有企業の中国宝武鋼鉄集団)は研究開発をしてなんとか国産化したいと思っている。彼らの強みは資金力があり、何より巨大な内需がある。モノを作れば売れるので、経営資源を投入しても採算性が高い。

(高級品で中国に追いつかれる)リスクは増えている。10年前と比較すると明確に中国勢の技術レベルは上がってきている。生産が拡大しているので現場ワーカーもエンジニアも力がつく。技術力で中国メーカーの一歩先を行かないといけない。

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